TV Episode

3rd season


本編はUSでの放送順でお送りしております。
日本での放送は「TV AIR SCHEDULEをご覧下さい。

ここでは第56話-第58話までをお楽しみ下さい。
Mini Episode」もよろしく。

第56話 「盗まれたスポックの頭脳」(SPOCK'S BRAIN)

監督:MARC DANIELS/脚本:LEE CRONIN

第57話 「透明宇宙船」(THE ENTERPRISE INCIDENT)

監督:JOHN MEREDYTH LUCAS/脚本:D.C.FONTANA

第58話 「小惑星衝突コース接近中」 (THE PARADISE SYNDROME)

監督:JUD TAYLOR/脚本:MARGARET ARMEN


第56話「盗まれたスポックの頭脳」

 非常に高度な技術で作られた、高速のイオン推進力を使用する正体不明の宇宙船がエンタープライズに接近していた。どの周波数で呼びかけても応答がない----この不思議なデザインの宇宙船が、エンタープライズに接近する目的は何なのか。

 スポックは、探知機によって生命反応のある宇宙船から転送用の電波がエンタープライズのブリッジに出ていることを報告した。警備班をブリッジへ呼ぶカーク。その次の瞬間、一人の美女がエンタープライズのブリッジに出現した。

 そして彼女が腕の機械を操作するや、エンタープライズ乗員はその場に凍り付いたように静止してしまった----スポックに近づいた彼女は、その頭に手をかけ、会心の笑みを浮べたのである。

 エンタープライズ乗員が覚醒したとき、謎の女性も宇宙船もその姿を消していた----そしてブリッジにいたスポックの姿も。医務室のマッコイから急ぎ来てくれと言う連絡を受け、急行するカーク。そして、カークは手術台の上に横たわり、生命維持装置の中にいるスポックを発見した。マッコイによると、スポックは死ぬより悪い状態で「頭脳を盗まれた」という。

 息を呑むカーク。想像を絶する奇跡とも言うべき手術で、きれいに脳髄が取り去られているというのだ。バルカン人の体力が並外れてすぐれているため、生命維持装置で危機を脱したが、このままでは生きた屍であった。あの女だ----カークはスポックの頭脳を奪ったのが、あの怪しい宇宙船に乗る女であることを直感した。

 マッコイは、スポックがどれくらい生きるか保証できないと言う。しかも、仮に頭脳が取り戻せたとしても、自分にはそんな手術はとてもできないと説明する。しかし、取り出せる技術があるのなら、戻すこともできるはずだ。カークはその一筋の望みに賭けることにした。何にしても、あと24時間以内に頭脳を元に戻さない限り絶望だと語るマッコイ----カークは全力で宇宙船のイオン航法ででる航跡を追った。

 宇宙船はシグマ・ドラコニス惑星群に向かっていた。全速でエンタープライズに追跡させるカークだが、15時間20分の後エンタープライズはその航跡を見失ってしまった。シグマ・ドラコニス惑星群に着陸したのは確かなのだが、いったいどの惑星なのだろうか。

 惑星の数は九つ。そのうち知的生物が住む惑星は三つである。そのどれかだ。
 カークは会議室で上級士官とその検討に入った。三番惑星は科学発展度B、四番惑星は科学発展度G、六番惑星に至っては科学発展度ゼロで氷河期の最中で住んでいる物のレベルは極めて原始的だという。どれもあの高度の宇宙船を建造できる科学レベルではない。ウラが氷河時代の第六惑星に強力なエネルギーの発生を探知し、火山性活動の可能性もあったが、エネルギーの発生リズムが非常に規則的であることに注目し、カークは六番惑星の調査を開始した。

 残り時間は、あとわずかに8時間22分だ。地表へ降りたカーク達調査班は、未開人の男性と接触、「苦しみと喜びを与える者」の存在を聞き出し、チェコフが地下五百メートルに何かの存在を発見した。かつて地表にあった何かの建物らしい。未開人に「女」の概念がないことに驚きながら、カーク達は地下に向かった。一刻を争うため、リモコン装置を付けたスポックの体とマッコイも同行する。----地下の通路で一人の女性を捕らえるが、地表の未開人をモルグ、自分たちをアイモルグというばかりで、その頭脳は子供並で何の事実もわからなかった。

 その時、スポックの声がし、カークと話し合うがスポックは今、暗闇にいて自分がどこへいるのかわからないという。そしてカーク達はエンタープライズに現れた女性と会うのだが、逆に全員捕らえられてしまったのである。その女カラとの話で、カークはスポックの頭脳がこの地下の文明を支えるコントローラーとして使われていること、女性が男性を別の種族として地上に追い、奴隷化していること、今は誰もが文明を忘れ子供並の知能しかないことを知るのだった。

 カーク達は力ずくで牢獄を脱出、この星の記憶バンクである”教師”によりカラが一時的に知識を得て全てを行ったことをつきとめた。

 マッコイは自らその教師にかかり、その知識を得て手術を開始するが、時が過ぎその知識を失ってしまう。手術は失敗寸前、復帰したスポックの言語中枢が手術を指導し、見事危機一髪で成功した。

 カークはカラ達にコントローラーに頼らず、地上の「男性」と協力して、新しい生活を始めることを説得した。この星の文明はこうして再生への道を進んだのである。

第57話「透明宇宙船」

 ここ数日間、カークは部下の仕事に対してことごとく注意をし、マッコイはその医療日誌の中で緊張とストレスが増大していくのが心配だと記録していた。長いパトロールの任務がカークの心を冒したのだろうか。マッコイの精密検査も拒否するカーク。カークはエンタープライズの進路変更を命じる。しかし、そのコースはロミュラス帝国の中立ゾーンに突入するコースで、加藤は反論するがカークは自分の命令を強行するだけだった。

 超高速で突き進むエンタープライズ。1パーセク以内に他の船影はないと報告するスポック。エンタープライズは、ついに中立ゾーンを越え宇宙艦隊本部の命令なしの船長の行動に、部下はただ戸惑うばかりであった。

 突然前方に出現する宇宙船。1パーセク以内に他の船はいないはずなのに、何か特殊なカムフラージュしていたのか。クリンゴン型の宇宙船は、ロミュラス帝国のパトロール部隊の一隻だったのだ。「第二の宇宙船が現れました」スポックは続けて訂正した。「訂正!第三の宇宙船もいます。包囲されました。」事態は最悪であった。中立ゾーンより侵入しないという協定をカークは破り、敵に発見されてしまったのだ。

 ロミュラス艦隊は、完全にエンタープライズを包囲していた。降伏を求めるタル副司令官。ロミュラス帝国は、破壊を得意とするが今回はエンタープライズを戦利品にするつもりなのだ。カークは勧告を強硬に跳ね返した。ロミュラス艦は、1時間の猶予を与えると連絡してきた。会議室で対策を検討するカーク達。スポックは、カークの無理な進路指示が招いた事態であることを指摘せざるをえない。脱出する方法は、皆無であった。

 ロミュラス艦の司令官が、カークと話し合いたいと連絡をよこし、カークとスポックは人質を二人交換することで敵艦に乗り込んで行った。司令官は何と女性で、カークもスポックも内心驚かざるをえなかった。

 司令官は、カークに領域への侵入行為は重大事件であり、条約違反の行為であることを通告した。その使命を聞く司令官。カークは計器の故障で計算にミスが生じたと、ごまかそうとするがそんな話を信じる相手ではなかった。司令官はスポックに話しかけた。バルカン人とロミュラン人は遠縁の間柄でバルカン人は嘘をつかないと言う事実を知っていた。スポックに事態の説明を求めたが、スポックはあえて何も答えようとはしなかった。

 司令官が、宇宙艦隊の意向で偽装装置の秘密を狙ったのではないかという考えを述べると、スポックは艦隊の名誉を守るため、カークが独断で発した命令であることを告白した。カークは怒り狂う・・・。

 スポックはカークが過労のため、正当な判断力を失ったのでしょうと説明した。カークはスポックを裏切り者とののしり、殺してやるとまでわめいた。司令官はカークを保安警備ルームへと監禁することを命じた。二人だけになり、司令官はスポックにロミュラス側につき、エンタープライズを明け渡し自分も船長にならないかと語りかけた。

 カークは保安警備ルームで暴れ回っていた。マッコイがカークの治療のため呼ばれることとなり、ロミュラスの旗艦に転送されていった。マッコイの診察では、カークはかなりの重傷の精神状態であることが判る。マッコイは司令官にカークが精神的にも肉体的にも弱り、順応せず、被害妄想と反抗心が現れていることを説明した。とても船長の激務は無理の状態だ。司令官がスポックを艦長にしようというので、マッコイはいぶかしんだ。スポックは艦と乗員の安全のため、艦長に背き降伏するつもりだったのだ。「裏切り者!殺してやる!」突然カークがスポックに襲いかかり、そのものすごい力のため、スポックはカークの顔面を右手でつかんだ。

 バルカン人の恐るべき力が----ガックリと倒れるカーク。驚いたマッコイがカークの脈を診た。「何をしたんだ、カークに何をした!」スポックは呆然とバルカンの殺人グリップを使ってしまったことを告白した。無意識のワザがカークの息の根を止めてしまっていた。----ついにカークは死んでしまったのか?スポックの手で・・・

 カークの死体はエンタープライズへ映された。診療室のシックベイに横たわるカーク。----あまりの事態にチャペルはオロオロするばかり。その時カークの目が少し動いて、チャペルをさらに驚かせた。起きあがるカーク----マッコイもロミュラス艦に転送されるまでは知らなかったが、カークとスポックは連邦の命令で行動中だったのだ。バルカンのワザで失神し、作戦の第一段階は成功した。すぐに手術の準備だとカークは頼んだ。

 チャーリィが診療室へ呼ばれた。この緊急事態に何の用事が----と、診療室へ来たチャーリィは、耳のとんがった生きたカークを見てびっくり、船にいるロミュラス士官の服が欲しいという話に、チャーリィは思わずニヤリとした。

 スポックと女司令官は、すっかり意気投合していた。彼女はロミュラスの女性としてスポックに惹かれたのだ----ささやき合う二人。スポックは裏切ることを確約し、この一時を楽しもうと女司令官は服を着替えるという。

 急ぎ連絡するスポック。すでに待ちきれずにカークはロミュラス艦に大隊長の服で侵入していた。カークは偽装装置は自分が奪うと連絡した。しかし、スポックの脱出は・・・
 服を着替えた女司令官----二人はその手を触れあい、その感激に驚いた。スポックもつぶやく「私も予期しなかったことだ。これほど----感激するとは・・・非論理的な事だと思うが・・・・」今や二人の思いは一つであった。

 そこへ副官のタルから緊急事態の連絡が入った。船内で味方のもでない交信をキャッチしたというのだ。そのひとつは司令官室であった。「偽装装置が危ない!」女司令官はあわてるが、時すでに遅しであった。カークは見張りの兵士を倒し、偽装装置を回線から外そうとする----廊下を急ぐ司令官、副官、そして部下の兵士達。カークとスポックの大胆な作戦は破られるのか。

 カークはようやく偽装装置の取り外しに成功する。転送を命令し、カークはエンタープライズへと帰還した。チャーリーに偽装装置を渡し、15分でセットすることを命じるカーク。それが出来なければ脱出は不可能なのだ。

 彼女はようやくスポックに騙された事に気がついた。スポックは全て任務のためだといい、ロミュラス人の伝統に従って供述のチャンスを求めた。20分----エンタープライズは、今必死に転送の準備をしているはずだった。カークは探査機にチェコフをつかせ、敵の旗艦にいるスポックを探させていた。しかし、バルカン人とロミュラス人は似ているので、なかなか絞りきれない----転送が行われた----スポックは無事エンタープライズに帰還する。そして女司令官も共に。チェコフのバルカン人を探す微妙な操作がスポックの側にいた彼女をも転送してしまったのだ。無念の表情の女司令官。

 装置のセットは完了し、ワープ9での脱出を命じるカーク。しかしスイッチは入れたが、装置が作動しない。カークは敵の副官タルを呼び出し、司令官がこちらにいるぞ、と警告。しかし司令官は攻撃しろと叫んだ。ロミュラス艦はすさまじい勢いで、追撃を開始しこのままでは戦わざるをえないのか----と思われたとき、チャーリーの苦闘が実を結んだ。偽装装置が作動し、エンタープライズはその姿を宇宙に消していった。

 カークは女司令官をもよりの惑星連邦の基地に到着次第、地上に降ろすことを説明した。キャビンへスポックに案内させるカーク。彼女はつぶやく「あれは本気だったの?」スポックは「ただ一つの真実でした。記憶に永遠に残るでしょう」彼女の手がスポックの胸に、それは二人だけの秘密であった。


第58話「小惑星衝突コース接近中」

 美しい湖、壮大な森林、そして魅惑的な自然----小惑星が衝突コースを接近中で、何らかの処置を取らなければ衝突して破壊される銀河系のある惑星に降りたカーク、マッコイ、スポックは、地球そっくりの惑星の姿に驚いていた。しかも、森の一角に高度な文明でなければ作れない謎の合金による記念碑のような建造物を発見。側の集落にアメリカン・インディアンとしか思えない一団を見つけ、カーク達の驚きは更に深まったのである。

 ともかく船に戻ろうと通信中だったカークが、突如行方不明となり、このまま星が衝突すれば惑星もろともカークも死んでしまうという事態になってしまった。

 スポックはカークの捜索を一端中止し、マッコイと共に船へ戻ると、エンタープライズを一路小惑星へ向かわせた。カークは実は、記念碑の中に落ち記憶を失っていたのだ。目が覚めて外へ出たカークは、インディアンの娘に発見され神として奉られた。彼等には伝説があり、村の危機には神が救いに現れることになっていたのだ。やがてカークは、この村の平穏な生活と酋長の娘ミラマネを急速に愛するようになり、遂にミラマネと結婚して新生活に入った。

 一方、スポック達はあらゆる方法で小惑星の方向をかえようとするが失敗、スポックはカークを救出するため、エンタープライズを最高速度で惑星に発進させた。その頃惑星は、小惑星の接近で気象が激変し、村人はカークに助けを求めるが、もとよりカークにそんな力のあるはずがなかった。記念碑の前で叫ぶカークだが、何の効果もなく逆に怒った村人にミラマネと共に激しいリンチが加えられた・・・

 ようやくスポック達が地上に到着。その治療の結果、カークの記憶が戻り、記念碑の文字を解読したスポックとカークは、その中に入り先端から強烈な光線を発射して小惑星の進路を変えた。この記念碑は、宇宙を旅した保存者と呼ばれるスーパー種族が、滅亡寸前のインディアンを発見し、この惑星へ連れてきたとき惑星を守るために作った装置だったのだ。リンチで傷ついたミラネマは不帰の人となり、カークに永遠の愛を語りながらその呼吸を止めた。