TV Episode Mini

3rd season


「スタートレック」に関する豆情報を掲載しました。
本編のエピソードと併せてお楽しみ下さい。


第3シーズンの放映第1話である第56話は、スポックが中心となる必見のエピソードだが、脚本には第2シーズンでプロデューサーを降りたジーン・L・クーンが、リー・クローニンのペンネームで担当している。リー・クローニン名義では、他にも61話の脚本、66、70話のストーリーを書いている。


第58話には、「保存者」と呼ばれているスーパー種族が登場。「スタートレック」に出てくる惑星には、なぜか空気があり、時には人類そっくりの異星人が住んでいたりして疑問の一つだったが、スーパー種族の存在によって回答が出されたわけである。


第59話でゴーガンに操られる子供達には、第8話「400才の少女」の監督、ビンセント・マクビーティの息子や、ウイリアム・シャトナーの娘達が出演している。尚第8話にはオンリー(子供)の一人でジーン・ロッデンベリーの娘ドーンが出演していた。


第60話の劇中にも登場するバルカンサインは、当時のトレッキーによって様様に考案され、各々の指がバルカン哲学の意思を表示していると言われている。小指はIDIC(無限の結合による無限の相違)、薬指はノーム(全ての意)、中指は感情を克服した論理優越の信条、親指は個性の尊敬である。


アメリカSFTVの題材で、神の存在とともに多く扱われる物に”過去の偉人との出会い”がある。第61話ではワイアット・アープやドク・ホリディが登場。以後第65話ではプラトンの子孫、第74話ではメトセラ、第78話にはリンカーン大統領まで登場している。


第63話のシリーズ中で最も長い原題は、老人の最後のセリフ「世界はちっぽけで、すぐ空に届いた」から取られている。巨大宇宙船の中に住んでいる住人が、自分たちが宇宙船に住んでいる事実を知らないというストーリーは、SF小説題材の一つである。


第64話は、ミニチュアやアニメーション等の特殊効果が多用されている異色作品として人気があるが、劇中で使用されている環境順応服(概念的に宇宙服とは呼ばない)は、特殊でスマートなデザイン故、後に「ルーシー・ショー」や「モーク&ミンディ」などにも”ゲスト出演”している。


第3シーズンは放送時間が夜10時に移動したためか、ラブ・シーンが前シーズンよりも多くなっている。第66には、ラブ・シーンの後カークはベッドの縁でブーツを履き、ディーラが鏡の前で乱れた髪を直している場面が登場、間接的な描写であるが放送当時はかなりの話題になった。


第67話に登場するエンパスとは、他の生物の感情を読みとり、感情移入する超能力者のことで、思考を読みとるテレパスと違い生の感情を自分のものにするため、ジェム同様悪影響を受けることが多い。


惑星連邦と敵対するクリンゴンの宇宙船が、第68話でしばらく登場。同型の宇宙船は第57話でロミュラン宇宙船として登場しているので不思議な気がするが、制作順では第68話が第57話よりも先に作られており、日本では第68話が先に放映された。つまり、本国アメリカの放映順が間違っていたわけである。


第70話は、色の違いによる人種差別を扱った作品だが、敵対する二人は「バットマン」のナゾラー役で笑い声が独特だったフランク・ゴーシンと、「警部マクロード」等を監督する一方、「女刑事JJケーン」のラムジー刑事役で人気があるルー・アントニオが扮し、ベテラン同士の演技を見せている。


第71話は、当時のトレッキー関連書の中でも問題を提起されている作品で、設定に無理があると言われている。もしも本当にギデオン星の人口が過密状態だとしたら、住民は自分たちのプライバシーを守るため、殺人とはいかないまでも何らかの行動に出るはずである。過密状態で日常生活はどうするのだろうか?


脚本のまとめ役を務めるストーリー・コンサルタントは、シーズン毎に変わり担当者の力量が作品に反映されるのだが、第3シーズンはD.C.フォンタナに変わり第79話の脚本を書いているアーサー・H・シンガーが担当。


第3シーズンに登場するメカは、前シーズンで使用されたメカを再利用したものが多く、第74話の作業用ロボットM-4は第57話でロミュランの偽装装置に改造された、超小型宇宙船ノーマッドを更に改造した物。その他にも第64話のソリアン宇宙船は第57話のクルーザー・オーロラに改造されている。


第75話のオリジナルタイトルは、"Joanna"。シナリオの第1稿では地球で看護婦の勉強をしているドクター・マッコイの一人娘ジョアンナが、イリーナの役だったが、理由は不明ながら最終決定稿ではジョアンナの名前は消えて、イリーナに変えられた。


第76話に登場する浮上都市ストラートは、第1シーズンでしか見られなかったマット・ペインティングが使われ、美しいマット・アートに仕上がっている。浮上都市は「フラッシュ・ゴードン」などにも登場する未来都市で、「スターウォーズ・帝国の逆襲」のクラウド・シティなどもある。


第3シーズンには第60話でバルカンのシンボルIDIC、第70話でスポックにバルカン星が戦争で絶滅寸前、理性と論理で危機を克服したと語らせ、第77話で戦争を終わらせたバルカン文明の父スラクを登場させる等、バルカンに関するエピソードが続出し、よりバルカンの設定を充実させた。


TV版「スタートレック」最後のエピソードである第79話は、3月14日に放映された前話から3カ月遅れ、6月3日に放映。全話の放映を終了した。次シーズン1968年9月の同時間帯には、ハリウッドを舞台にした若手スターの群像ドラマ「華麗なる世界」(Bracken's Worldが放映された。



第3シーズンは愛に満ちている

 「スタートレック」には、レギュラーの恋愛を中心に展開する話が少なくないが、第3シーズンでは前シーズン以上にエスカレートしている。例によってカークは第58、65、66、71、74話等で愛を語り、スポックは第57、78話で感情に溺れ、マッコイも第63話で結婚を考え、エンジンが恋人のはずのスコットまで第73話で恋に落ち、若いチェコフは第61話、75話で昔の恋人に悩み、冷静なウラも第65話で船長と人種を越えたキスを交わし、正常なのは加藤ただ一人だった。


日本語版シナリオ騒動


 オリジナルと日本語シナリオとでは、かなりの違いがある。シーズンで訳者が違うため、各名称の呼び名がシーズン毎に違う名称が出てきた。例えば
  Phaser→フェイザー→フェーザー→フェザー
  Romulan→ロミラス→ロミュラ→ロミュラン
  UPF→宇宙連邦→地球連邦→惑星連盟→惑星連邦
  Rigel→ライジェル→リゲル→リーゲル