うる星やつら 完結篇

1988年(株)キティ・フィルム作品
監督:出崎 哲


うる星映画化第5弾!

「好きだ」どうしてその一言がいえないっちゃ!

でおなじみ、コミック最終作「ボーイミツガール」の映画化である。それまで進めていたストーリーを白紙撤回し、最終版にはこれしかないといわれて出来た作品である。
完結版にふさわしい内容で、ファンの私も十分納得の作品であった。
 


ストーリー

 ある日、ラムの夢の中に黒衣の奇妙な老人が現れ
「大人になったら、嫁にもらいにくる」
とだけ告げた。ラムは不安にかわれるが、あたるは相変わらず浮気に余念がない。しかし、それと同じ頃、サクラの水晶玉にはラムが闇に捕らわれるという暗示が映し出されていたのである。

 そんなとき、ラムの父親からラムに故郷に帰ってくるようにと連絡が入った。コールドスリープしたまま忘れられていたヒイじいさんが見つかり、ラムに会いたがっているのだという。ラムは故郷へ戻るが、そこへラムの夢の中に現れたあの黒衣の老人、ウパが現れる。ウパは、昔旅先で倒れていたヒイじいさんを助けたとき、ヒイじいさんの娘を嫁に貰う約束をしていたのだ。しかし、ヒイじいさんには息子しかいなかったため、代わりにラムと自分のヒイ孫を結婚させようと言うのである・・・。

 一方、友引高校では黒ブタの馬車に乗った黒ずくめの少年、自称ラムの婚約者ルパが姿を現していた。ルパは壁に激突し、保健室へと運ばれるが、目を覚ますや否や「ラム!」と叫びサクラに抱きついた。どうやらラムの顔も知らないらしいのである。そこへ故郷より戻ったラムがやってくる。ルパはラムの指にエンゲージリングをはめると去って行ってしまった。

 ルパのはめた指輪は、まるで抜けようとしなかった。しかも、その指輪には成長促進剤が仕組まれていたのである。翌日ラムの角は抜け、ラムは電撃力を失ってしまう。そしてルパによって闇の国へと連れ去られていってしまった。

 あたる、面堂、弁天、おユキの一同は、ランの宇宙船を乗っ取りラムの救助へと向かったが、そのワープ走行中に未知の宇宙船と衝突してしまう・・・。その宇宙船は、ルウへと思いを寄せるカルラのものだった。

 ワープに失敗した弁天達は、到着と同時に捕らえられてしまうが、運良く見つからずに済んだあたるは、カルラと手を組み新郎新婦のフリをして式場へと入り込もうとする。しかし、警備の目によってカルラの正体がバレてしまい今度は力づくで式場へと乗り込んでいこうとするのだった。

 式場はたちまち大混乱となり、ラムは用意しておいたコピーとすり替えられてしまう。カルラは、ルパの「おまえなんか大嫌いだ」の言葉に逆上し、めったやたらと銃を撃ちまくる。あたるはあたるでコピーラムの「うちはルパと結婚するっちゃ」の言葉にショックを受け、ラムが信じられなくなってしまう。

 一方弁天達の方も牢を破り、式場の方へと向かったが、4人はその時すでに棟の上であった。ルパはラムを抱え飛行船で逃げようとするが、面堂が縄ばしごを断ち切る。・・・落ちた二人はあたるとカルラをも巻き込んで、屋根の上を転がり落ちていってしまう。おユキの放つ氷の杭のおかげでカルラ、ルパ、あたるの三人はかろうじて助かるがラム一人は屋根から落ちていってしまう。

 それを見ていたあたるは、ラムを助けに飛び降りるのだが追いついた後も二人は喧嘩をやめようとしない。後を追った弁天も間に合わず、もうダメかと思ったその時、雷光が夜空を貫いた。ラムに能力が戻ったのである。ラムは、黒こげになったあたるを放り出すと、きっぱり言った。
「うち、ここに残るっちゃ!!」

 喧嘩別れのままランの宇宙船は地球に向かうのであったが、その頃サクラの水晶玉は、地球が闇に覆われるとの暗示を示していた・・・。

 闇の国から戻った一行は、あたるの家に押しかけ、ナベをつついていたが、ふとしたことからカルラの持ち帰ったキノコがナベの中に混入してしまう。そのキノコは熱や光にあたると巨大化してしまうという代物だった・・・。

 キノコは瞬く間に胞子をまき散らし、友引町は巨大なキノコで覆い尽くされてしまう。キノコを駆除できるのは、ルパの飼っているブタしかいない。仕方なくカルラはルパと連絡をとるが、ラムとあたるの意地の張り合いに話はこじれるばかりであった。

 それからしばらくして、友引町の上空にルパとラムのホログラフが映し出された。二人はあたるに、ブタを貸して欲しければラムと鬼ごっこをして勝たなければならないことを告げた。さらにラムはつけ加えた。
「うちを捕まえたかったら、うちのことを”好きだ”って言うっちゃ!!」

 あたるとの出会いとなった鬼ごっこが再び地球と、そしてラムとあたるの二人の運命を賭けて始まろうとしていた・・・。

 しかも、そればかりでなく、もしあたるが好きといってくれなかったら、ラムは自分たちに関する記憶を全て地球人の頭から消してしまうつもりなのであった。

 果たしてあたるはラムを捕まえることができるのであろうか!


私から一言

 本当に、いい作品です。ビューティフル・ドリーマーの次に好きな作品です。
抜けた角を持っていたあたるは、ほんとにえらい!
 

声の出演


ラム>>>>平野 文
あたる>>>古川登志夫

面堂>>>>神谷 明
しのぶ>>>島津冴子
テン>>>>杉山佳寿子
サクラ>>>鷲尾真知子
錯乱坊>>>永井一郎
あたるの父>緒方賢一
あたるの母>佐久間なつみ
メガネ>>>千葉 繁
パーマ>>>村山 明
カクガリ>>野村信次
チビ>>>>二又一成
ラン>>>>小宮和枝
因幡>>>>鈴置洋孝

ルパ>>>>塩沢兼人
カルラ>>>井上 瑶
ウパ>>>>北村弘一

 他


スタッフ


キティ・フィルム作品

製作:多賀英典
企画:落合茂一
脚本:金春智子
演出:冨永恒雄
音楽:大森俊之
音楽監督:近藤由紀夫
美術監督:新井寅雄
作画監督:小林ゆかり
撮影監督:大地丙太郎
音響監督:なん波重冶
アニメプロデューサー:松崎義之
監督:出崎 哲

製作協力:マジックバス


資料参考:キャニオンLDより