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STAR TREK the MOVIE
TVシリーズが終了した10年後に映画版は完成し、79年11月3日に全米で公開された。日本でも80年の初夏に公開され、本格的なSF映画として迎えられた。
映画版は、TVシリーズと同じオリジナルキャストが組まれたが、エンタープライズやユニホーム等、TVシリーズで使われた物は一部を残して殆ど映画用に作り替えられた。
映画のストーリーには、「まんが宇宙大作戦」を小説化したStar Trek Logの作者で知られるアラン・ディーン・フォスターが起用され、ストーリーはTVシリーズの第32話「超小型宇宙船ノーマッドの謎」、第35話「宇宙の巨大怪獣」、第47話「単細胞物体との激突」のエピソードが流用されている。しかも、カーク船長の後任のエンタープライズの船長、デッカー中佐は、第35話でドームズディ・マシンの犠牲となったマット・デッカー准将の息子という設定だった。
STORY
深遠な宇宙空間に雲のような物体が出現、接触した三隻のクリンゴン戦艦は、たちまち消滅してしまった。惑星連邦の宇宙ステーションは、その有り様を探知、突き進む謎の雲状物体の危機を艦隊司令部に通報した。
同じ頃、スポックはバルカン人としての大切な儀式コリナハーの教えを会得しようとしていたが、自分の心を乱す何かの存在に気づき、その修行を中止させるのだった。
一方、地球のサンフランシスコにあるステーションには、カーク提督が出頭した。雲の恐怖を取り除くため、カークが新装備のエンタープライズの船長に任命されたのだ。小型艇でエンタープライズへ乗船したカークを待っていたのは、旧知のクルー達の歓迎であった。しかし、船長のデッカーは急にカークが現れたため、船の指揮権を奪われ面白いはずがない。カークはデッカーに副長任務を依頼、デッカーは転送中の事故でソナク大佐が死んだ為科学主任をも兼務することとなった。
雲状の物体は、巨大なエネルギー場と判明。一直線に地球をめざして進んでいた。一刻を争うためエンタープライズは最後の乗員アイリーア中尉、船医のマッコイを収容し直ちに発信した。
あせるカークは、急にワープスピードを上げ、そのためエンタープライズは奇妙な亜空間に迷い込んでしまう。しかも、正面コースに出現する謎の小物体。正面衝突の危機にカークはフェイザー攻撃を命じるが、エンジン不調のため発射できず、デッカーの機転で放った光子魚雷が船を救うことになる----対立するカークとデッカーもこの事件でますます反発しあった。
亜空間を脱出したエンタープライズに、スポックが乗船する。スポックは自分の心を乱す侵入者が強力な意志を持っていることをカークに説明した。
エンタープライズは雲に接近、攻撃を受けるがスポックの考案した通信方式でコンタクトを始めるや、その攻撃は中止された。白い光を放つ探査子(探査する目のような存在)でエンタープライズのコンピュータを探る雲----スポックはそれを阻止しようとしてはねとばされ、航宙士アイリーアは光に包まれ消えてしまうのだった。
エンタープライズは、雲のビームにつかまり、その中心に引き寄せられていく。
そして突然帰還するアイリーア。しかし、彼女の喉にはボタンがあり、彼女は雲の探査子が姿を変えたものであると判った。「炭素系ユニットを観察、記録することをヴィージャーに命令された」と語るアイリーア。カークはアイリーアに質問を発した。ヴィージャーとは何者で、なぜ地球へ向かうと。アイリーアは「創造主を探し、ヴィージャーと合体することが目的だ、カークユニット」と答えた。しかし、アイリーアはデッカーにはユニットと付けずに呼び、カークはアイリーアの感情が探査子に残っていることに気づく。しかし、時間はもう無い。ヴィージャーは地球から6時間の位置に近づいていたのだ。
一方、スポックは単身でヴィージャーの内部へ入り込み、ヴィージャーが体験して来た全ての映像を見る。突然、巨大な衝撃がスポックを襲ってはじき飛ばした。
エンタープライズに収容されたスポックは、カークに話し始めた。「ヴィージャーは問いを繰り返しているだけだ、”これが私の全てなのか。他になにもないのか”というだけなんだ」
地球に近づいたヴィージャーは、邪魔をする人間を消すため、防衛システムを無効にし、攻撃を始めた。カークは自分達がお前の答えを知っていると叫ぶ。攻撃は中止され、カーク達5人はヴィージャーに入っていった。そこで見た物は20世紀の宇宙船V・・・GERだった。抜けた文字はOYA、ヴィージャーは昔飛ばしたヴォイジャー6号なのだ。ヴィージャーは放浪中に機械惑星に改造され、意識を持った。そして、より進化を望み地球を目指して旅を続けてきたのだった。そこでカークは、我々が創造主だと答え、説明しようとするが、ヴィージャーは拒否し、直接創造主との合体で進化しようとしていた。
その時デッカーは「私がヴィージャーと合体し、より進化したものへの実験台になろう」と志願した。カークやマッコイは止めたが、デッカーは聞かずアイリーアと二人でヴィージャーの横に立った。
二人の身体は回転し始め、光りだした。輝く光の物体と化したデッカーを後に、カーク達三人は急遽、エンタープライズに戻り、脱出した。
新しい生命体が誕生した。デッカー、アイリーア、そしてヴィージャーのみっつの生命が生み出した新しい命は、別な宇宙へと飛翔していくのだった・・・・・。