TV Episode Mini

2nd season


「スタートレック」に関する豆情報を掲載しました。
本編のエピソードと併せてお楽しみ下さい。


第二シーズンは、36話「惑星パイラスセブンの怪」から制作が開始され、30話は34話として制作されたが、ミスター・スポックの人気を考慮した上で、第二シーズンのプレミア・エピソードには30話が放映された。
 面白いことに日本では、30話から38話「死のパラダイス」まで制作順に放映されている。

31話には、ギリシャ神話の太陽、音楽、詩、健康、予言などの神アポロが登場するが、TVや映画に限らずアメリカやイギリスSFでは、常に神の存在がバックボーンにあり、話のポイントとなっていることが多々ある。
 聖書やギリシア神話になじみ深くない日本人には、理解できない部分が多いかもしれない。

32話に登場するノーマッドには、NO MAD(狂ってはいない)という反語が含まれるが、アルフレッド・ベスターの長編SF「虎よ、虎よ!」の中で主人公ガリバー・フォイルの宇宙船の名前がノーマッド号。破壊されたまま火星と木星の間を漂流している発端部に、ノーマッドの原型を見ることができる。

34話は、惑星ガンマー6号”エデンの園”の住人”アダムとイブ”が、愛を知って人間になるという聖書を題材にしたエピソードだが、聖書の中では悪魔の象徴である”蛇”がバールであり、原題でもある禁断の木ノ実”りんご”を与えたカーク達は、住民にとっては愛の行為を教えた”悪魔”になるのか?

36話は、第2シーズンの最初に製作されたエピソード。日本では30話として放映されたが、フジTV系で放映された第2シーズンは、邦題も「宇宙パトロール」に変わり30分枠に1本を前後編に分けて放映。後編の冒頭にはカーク船長(矢島正明)のナレーションで前回のあらすじが語られた。

37話には第1シーズンの6話「恐怖のビーナス」で一騒動を起こしたハリー・マッドが再度登場。いつも絶世の美女と一緒で、憎めない悪党だが「スタートレック」の中では特異な位置を占める。マッドの行動範囲は広く、「まんが宇宙大作戦」にも出演。声も同じくロジャーだった。

38話の劇中音楽は、当時映画音楽で活躍していたジョージ・ダニングが担当した。

39話の中心となる惑星連盟(United Federation of Planets)は、「スタートレック」の世界を形づける上で重要な要素となっている。世界中から戦争や人種差別をなくした地球連合政府と無数の惑星が参加している惑星連合、この二つの要素を見ても「スタートレック」の広大な世界がうかがえる。

39話でスポックの父サレックを演じているのは、14話「宇宙基地SOS」でロミュラン宇宙船の艦長を演じたマーク・レナードである。さらに映画「スタートレック」ではクリンゴン宇宙船の艦長にもなり、バルカン、ロミュラン、クリンゴンの三大星人を演じた俳優である。

40話は、26話「クリンゴン帝国」に続くクリンゴンの登場するエピソードだが、この時点ではクリンゴン宇宙船の本体は登場せず、本体は第3シーズンの68話「トロイアスの王女エラン」で姿を現す。メインスクリーンに現れたクリンゴン宇宙船は、マッド・プロセスで処理されている。

41話でカークやマッコイ達が、少しづつ年をとっていく場面では、パイロット版の"The Cage"から参加しているメイク・アップ・アーティストのフレッド・B・フィリップスと彼のスタッフが手腕を発揮している。

42話の原題"OBSESSION"は、取り付いて離れない強迫観念のことである。若い頃自分のために何人もの仲間を吸血鬼によって殺されたと思いこみ、吸血雲抹殺に執着するカークは、ハーマン・メルビルの名作「白鯨」のエイハブ船長がモデルになっている。35話でデッカー准将のとった行為にも見ることが出来る。

42話のガス怪獣あるいは吸血雲は、38話のコンパニオンと同じ様なガス状の生命体で、特撮を担当したウエストハイマー・カンパニーは、宇宙場面では色のついた煙をスローモーションで撮影、地上場面では濃い煙とマット・プロセスの二通りの方法で撮影された。

43話は映画の題材によく使われる謎の殺人鬼”切り裂きジャック”が話の中心になっている。作者のロバート・ブロックは、同じ題材で「切り裂き魔」という短編を書いたこともあり、この短編はポリス・カーロフがホストを務めた「スリラー劇場」でTV化されている。

45話のような激しい格闘場面では、俳優から専門のスタントマンに代えて撮影されるが、「スタートレック」には以外と格闘場面が多く数多くのスタントマンが導入されている。中でも現在アクション監督として活躍しているハル・ニーダムもスタントマンとして参加。殴り合いで手腕を発していた。

46話は「スタートレック」の中でもユーモラスで、コメディタッチのエピソードだが、製作会社のデジル・プロは当時「ルーシー・ショー」や「アンタッチャブル」を作っていたところだけにギャングの描写はお手の物で、コメディのセンスが加わるとこのようになるわけである。

47話でバルカン星人の指揮をするU.S.S.イントレビットを破壊した宇宙アメーバは、フランク・ヴァン・ダー・ヴァーによる特殊光学効果によって生み出されている。赤、青、黄色の塗料を渦巻き状にして撮影で効果をつけた結果が、アメーバ内部のカラフルな模様となった。

48話に登場する白猿ムガートは、25話の地底生物ホルタや77話の知的岩石生命ヤルネクも演じているヤノス・プロハスがぬいぐるみの中に入っている。ヤノス・プロハスは、「アンディ・ウイリアムズ・ショー」でクッキー好きな熊を演じて人気があったが、飛行機事故のため亡くなった。

毎回手堅い演技をするウイリアム・シャトナーや、レナード・ニモイもたまにはNGを出すこともある。そんな彼等の大失敗風景を一つに集めた物に、「スタートレック・ブルーパーリール」なる特別なフィルムがある。

52話のシナリオが、ジーン・ロッデンベリーによって書かれたのは、65年6月。最初のパイロット版"The Cage"で局から良い返事をもらえなかったロッデンベリーが次に用意したのは"The Omega Groly"であった。しかし、映像化はされず、二転三転した後現在の放映第3話に決定した。

「スタートレック」には、53話のM-5を始めいろいろな型のコンピュータ、あるいはコンピュータのような知性体が数多く登場している。コンピュータの声は、女性声(船内コンピュータなど)がメージェル・パレット、M-5のような男性声をジェームズ・ドーハンがあてている。

53話では宇宙艦隊に所属する宇宙船が4隻登場するが、エンタープライズを含めて12隻ある宇宙船の名前は、ポテムキンがロシア黒海艦隊の巡洋艦ポチョムキン、デファイアントがイギリスの不沈戦艦デファイアントからなど、実在した戦闘艦から名付けられている。

「スタートレック」が他のSFシリーズと大きく違った点に、宇宙服、あるいは宇宙を遊泳する場面がないことが上げられる。上陸する惑星には、全て”空気”があるということなのだろうが、見ている時に気にならないのは、脚本がしっかりしているからといえる。

55話は「スタートレック」の中でも異色のエピソードで、ゲリー・セブンを主人公にした別のシリーズのパイロット版として製作されている。ロッデンベリーは新しい30分のSFシリーズを企画していたが、セールスに失敗。「スタートレック」用に新しく書き直して55話として製作した。





バルカン星の設定

 第1シーズンでは、ミスター・スポックの性格や行動からしか憶測できなかったバルカン星の秘密が、第30話で明らかにされた。第30話の脚本は、第1シーズンの第15話「おかしなおかしな遊園惑星」も書いているシオドア・スタージョンだけに、ユニークな趣向が凝らされている。”バルカン”とは、暑いという意味であり、空一面が赤々と燃えている惑星と設定され、日頃感情を表に出さないバルカン星人も、”血が狂う”アモク・タイムには先祖の暴力的な性格が表面化するという、火と鍛冶の神を意味する”バルカン”から発展して素晴らしいバルカン星の設定が想定された。

バルカン星人のネーミング

 バルカン星人の名前として、ミスター・スポックの名前を基準にし、名前の頭が"SP"最後が"K"で終わらす、スピック、スパック、スピンクなどさまざまな名前が考えられた。しかし、熟考の末ミスター・スポックから頭の"S"と最後の"K"だけ取って名前がつけられることになった。前者では、名前のバリエーションが生み出し得ないからだ。

 そうして出来たのが、39話に登場したサレック(Sarek)、77話に登場したスラク(Surak)「まんが宇宙大作戦」に登場するセペック(Sepek)、ソフェク(Sofek)、スターク(Stark)などである。唯一スポックからプリングを奪ったストーン(Stonn)のみ最後が"N"で終わっているが、スポックとは家系が違うためである。尚、名前はすべて五文字で書かれる原則がある。
 
 男性と同様に女性の名前にもパターンがあり、39話に登場したプリング(T'Pring)とパウ(T'Pau)から"T"が女性を表し、"P"が階級を示していることがわかる。文字数は二人ともまちまちだが、文字数の量によって家族の中での階級が判るようになっている。例えば、プリングの母はプリン(T'Prin)、娘がプリング(T'Pringe)といったようにである。

オリジナルと日本語版

 海外の作品を日本で放映する場合、どうしてもオリジナル版では都合が悪く、あえて日本語版に作り変えてしまうことがある。

 「スタートレック」の場合は、レギュラーの名前から変更された。オリジナルではスコットが、チャーリーに、スルーが加藤、ジャニス・ランドがジェニーとアフレコしやすい名前に変えられた。しかし、レギュラーの名前が変更したため第2話「セイサス星から来た少年」では、原題にもなっている主人公チャーリーが、レギュラーのチャーリーと混乱することからピーターと名前変更される事態にまで発展してしまった。