V 実践授業
第5学年社会科学習指導案
1、小単元名    私たちの生活と情報
2、小単元について
(1)児童観(事前の意識調査より)
  @あなたは次のことをどの程度正しいと思っていますか?(メディアの信用性)
   図鑑や百科事典  の信用度が高い。  友達の話、雑誌に  書いてあることを  信用している児童  は40%程度と低  い傾向がある。
 
 
 Aコンビニエンスストアやスーパーのレジでお金を  払うとき「ピッ」と音がするのを聞いたことがあり  ますか(POSレジ)
 
 B情報と聞いてイメージするものを書きなさい
コンピュータ、あやしい(2名)、調べる、正しいこと、相手からくるちょっと前にあったこと、テレビ、新しいこと、事件がおきたこと、図鑑、とても大きい資料、質問して聞くこと、機械化のイメージ、新聞やテレビ、本当にあったこと、新しいもの、テレビで放送すること、質問したこと、地震かなんか、ラジオ、いろいろ調べること、自分の知らないこと、世の中の動き、新聞、 本当みたいなうそ、いろんなところからいろんなことが耳に入ること、気になる、ある人が調べたこと
 Cつぎのうち情報だと思うものはどれですか
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 D社会科などの時間にものごとを調べる時、どのような方法でしてきましたか
  (収集で使ってきたメ   ディア)
 
   今までは、書籍  を使ったり先生や  家の人に聞いたり  して調べている児  童が多い。
 
 
 
 
 E調べたことをまとめるときどの方法が好きですか
   (学習成果の記録や伝達をする時に好きなメディア)
 
   ノート、新聞等にまとめる方法が好  きと答える児童が多い。今までに使っ  たことのあるものを中心に好きな方法  としてあげているようだ。
 
 
 F資料を使って調べてまとめるときあ  なたはどうしてきましたか(資料の扱  い方)
   そのまま書き写すことが少し多かっ  たようだが、資料の言葉を直したり、  自分の言葉で書き直したりするものと  の差はあまりない。資料の扱いについ  ては特に意識している傾向は見られな  い。
 
 G調べた資料について、今までどうしてきましたか
 
 
 
 
 
 
 HOHPを使ったことがありますか
 
   学校にある身近なプレゼンテー  ション機材をほとんど児童は活用  したことがないことが分かる。
 
 
 
児童はメディア経験が浅い。学習においてもコンピュータを活用する事が少なく、ノートや図書資料による調べ学習を多く行ってきている。情報活用能力という点では、資料を自分で探したり、自分で積極的に調べに行くよりは、情報を受け取る学習が好きな児童が多い。12名の児童宅でワープロを、4名がインターネットを11名がコンピュータを所有している。「情報」という言葉に対するイメージでは、新聞、テレビ、インターネットという情報手段をあげる児童が見られた。また「自分の知らないこと」「ある人が調べたこと」などという情報そのものの特性を上げる児童もいた。資料等の情報に関する見方は出来上がっていないことが調査から分かった。
 
(2)教材観 
 本単元に関わるねらいは
 学習指導要領 第5学年の目標より
(1)我が国の産業の様子、産業と国民生活との関連について理解できるようにし、
  我が国の産業の発展に関心を持つようにする。
(3)社会的事象を具体的に調査し、地図、統計などの各種の基礎的資料を効果的に
  活用し、調べたことを表現するとともに、社会的事象の意味について考える力を   育てるようにする。
 内容(3)より
 我が国の通信などの産業について、次のことを見学したり、資料を活用したりして
調べ、これらの産業は国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活
用が大切であることを考える。
 ア 放送、新聞、電信電話などの産業と国民生活との関わり
 イ これらの産業に従事している人々の工夫や努力
 とある。
 児童は4年生まで自分たちの地域あるいは日本の地域における生活と環境、産業との結びつき、くらしの特色やそこにすむ人々の生活の工夫などについて学習してきている。児童の生活は多くの情報機器に囲まれており、こうした情報機器や情報の存在が産業に及ぼしている要因は大きい。
 そこで本単元では、人の生活を豊かにしたり、役に立つ情報を流している産業と情報を役立てている産業を生活の中から探し出し、その様子を見学したり、調べたりして理解させるとともに、現代の生活の中で情報を伝えることで人の生活を豊かにしたり、情報機器を積極的に導入し、情報を活用して能率的に仕事を進めている人たちの様子に気づかせることをねらいにしている。
 本検証授業では、天気予報やバーコードといった身近に存在する情報を取り上げて教材化し、メディアや情報産業、情報を役立てて効率化を図っている産業について、様々な情報があることや、何のために情報産業が作られたのかを調べていくことにより、情報は国民の生活を豊かにしていることに気づかせ、情報の大切さを考えさせていきたい。
(3)指導観
・ 自分の目的にあった情報を集め、判断し、自ら発信できる児童
・ 情報や情報機器の特性を知り、生活の中で情報を正しく扱える児童
 本単元では情報活用能力の育成を目指して教科教育と情報教育の統合をはかっていきたい。その際、情報教育の目標と情報メディア活用の意図をはっきりさせ、社会科の学習のねらいを達成しつつ、小単元「私たちの生活と情報」を実践授業として進めたい。情報活用能力は短時間で身に付くことではない。そのために、情報教育のカリキュラムを作成し、発達段階に合わせて系統的に指導していきたい。メディアを活用し、教科の時間内で、内容のある活動を通して身につけさせていきたい。
 まず児童に天気予報等における新聞、テレビ、インターネットの報道を比べて視聴させる。児童はその内容に微妙な違いがあることを知り、疑問を持たせる。今まで何気なく見ていたメディアの情報も比較することによって、その特性に違いがあることに気づかせ、調査させる。情報の発信源や発信方法、取材の方法が違うことをそれぞれ発表させる。意味のある情報では天気予報等に関するいろいろなメディアの報道を比べ、その情報の違いに気づかせ、それぞれ情報をどのような方法で作り、伝えようとしているか、情報を作っている人はどんな工夫や苦労をがあるかを調べさせる。その際、VTRやいろいろなメディアを児童に主体的に操作させて、その違いを体感させたい。そして、自分なりにわかったことをまとめさせていきたい。児童が理解したことを発表する中で、それぞれのメディアが資料として良いところや問題点があることや昔のメディアに比べて今の情報化社会といわれる状況を随時、指摘しながらメディアの特性を理解させたい。発表会前に、児童それぞれがメディアを選択し、発表資料を準備し発表につなげていく。発表資料を作るときは内容や自分の個性にあわせて、発表の仕方を工夫させ、メディアの特性が引き出せるように指導していきたい。発表会が終わったあと、それぞれのメディアの良いところ悪いところについて話し合いを行う。
 その後、情報産業に従事している人々の工夫や努力について学習する。POSシステムについて取り上げ、近くのコンビニエンスストアやスーパーに協力してもらい、見学及び取材活動をさせる。活動は情報交換も可能で動きやすい4〜5名のグループ活動としていきたい。事前に取材活動におけるマナーや内容について指導しておく。調べてきたことは、情報交換会で発表する。ここでは全員がOHPを使った発表を経験する。OHPを活用して人に発表するときの技術や態度を学ぶこと、プレゼンテーションすることへの興味や関心を持たせたい。発表においては必ず質問を受け付け、受け答えする経験を積ませたい。クラスにおいては一人一人が発表することの楽しさを味わえるような、聞き方ができるような指導をしていきたい。情報交換して明らかになったPOSシステムを学習した成果を、インターネットのWebページにして公開する。ページは一人一画面作成し、自分で伝えたいことを中心にして、個性を生かしたページを作らせたい。ページ作成に当たって、インターネットの仕組みを伝え、個人情報をみだりに流さないこと、著作権に注意することなど発信に関する注意事項を知らせていきたい。
 
3、小単元の指導目標
(1)目標  
・放送、新聞、電信電話などの産業が国民生活と深く関わっているこ とや、情報産業に関わっている人の工夫や努力に気づくことができる。
 ・情報産業について、取材や資料を活用して調べ、情報の有効な活用  について考えることできる。
(2)評価規準
 関心意欲態度   思考判断   技能表現    知識理解
 いろいろな情報が私たちの身の回りにあることや、情報を使って効率的に仕事をしている人がいることに関心を持ち、自分で課題を持って調べたことを発信しようとしている。 情報産業と今の生活を結びけて、情報を有効に使っていくことの大切さについて考えられる。



 
 情報源による情報の違いや、POSシステムの仕組みやそこで働いている人について、資料を探して比べることや取材活動を通して、調べられる。  情報はそれに従事している人の工夫や努力にによって作られ、人々の生活を豊かにしようとしてることを知ることができる。


 
 
(3)情報教育上の視点
  ・自分の目的に合った情報を収集し、課題を解決し、成果を相手の状況を踏まえて発   信する。                       (情報活用の実践力)
    メディアの比較、バーコードの仕組みを探る中で、自分の課題を設定し、課題に   沿った情報をあつめ、解決していく力を育成する。一人一人の成果を発表する場を   設け、よりよい情報の発信者として、主体的に学習活動を進める。
・情報の比較や観察により、情報手段の特性を見つけ、理解する。
                           (情報の科学的な理解)
    情報を比較したり、整理する中で、メディアによって情報が違うことや、バーコ   ードのような形式的な情報を使って産業や生活を便利にしていることを学ぶ学習活   動を展開する。
  ・情報を使って豊かな生活をしていくための基礎を養うとともに、著作権を大切にし  ていこうとする態度を養う。           (情報社会に参画する態度)
    生活にあった情報の在り方を考え、よりよい情報社会について考えるとともに、   資料の出典の明示をして、情報を大切に扱う態度を養う。
 
(4)指導計画と配当時間 (12時間扱い)
第1次  テレビ、新聞、インターネットの情報
 時     学 習 活 動

(1時)




(2時)
(3時)



(4時)
(5時)
(6時)





 

 
明日の天気予報を知るとき、何を調べたらいいだろう。
メディアを見比べて気がついたことを発表し合おう。

 
・全員で新聞の記事を読み比べたり、テレビの映像を見比べたりする。
・自分の学習課題を選択する。
 

 
明日の天気は何だろう。
自分で比べてみたい、メディアを決めて調べよう。

 
・ひとりひとりがTV、新聞、インターネットで天気予報を見比べる。
メディアの違いを調べ、レポートにまとめる。
 


 
明日の天気を知るときはどんな情報をしらべたらいいか。
いろいろなメディアによって情報の内容や放送のされ方の違うことを発表しよう。


 
・発表会の原稿を書く。
・発表資料(プレゼンテーション資料)を作る。
(OHP コンピュータ 模造紙 画用紙 デジカメ)
・発表会を行う。 質問し合う。
・メディアの特性についての話し合いをする。 
・メディアをどう使っていきたいかを考えて、話し合う。
 
第2次 バーコードのひみつ
 時 学習活動

(7時)







(8時)
(9時)





(10時)







(11時)
(12時)









 
 

 
バーコードはなんのためにあるの?
バーコードを観察してバーコードの特徴をつかもう。

 
・音を聞く、バーコードを観察する
・どんな商品にもバーコードってあるのか教室内で探す。
                      (ノート、消しゴム等)
・商品のバーコードをみて役割を考える。
・バーコードの数字の意味を考える。
・バーコードの役割を考える。
  課題作りをしよう。  
 自分の調べたいこと、調べる方法をはっきりさせる。話し合う。
  取材にいこう。調べよう。  
 実際に店に行って、取材し、インタビューして記録メモを取る。
 インターネットや本で調べまとめる。
 バーコードを調べたレポートを作る。
 

 
バーコードレポートを発表しよう。
OHPを使って、短い取材レポートを発表し合う。 

 
・OHP、ビデオ、デジタルカメラ等を使って、調べてきたことを発表する。
・発表をよく聞いて、分からないことは質問する。
・調べてきたことを自分の情報と見比べてバーコードの意味やPOSシステ ムの仕組みを知る。
(情報の共有化を図る)
 

 
バーコードの仕組みをインターネットで発表しよう。
インターネットの特性を考えて情報発信しよう。

 
・インターネットの仕組みや情報発信の注意を知る。
・わかりやすく責任ある情報発信を考える。
・ホームページを作る。発表し会う。
・学習を振り返り、これからどんなことが便利になるか、どんなことに気を つけていったら良いかを考える。



 
まとめ
 情報は、私たちの生活を豊かにしていると同時に、情報を利用して便利な生活をつくりだそうとしている。これから情報の役割をよく考えて情報をつかっていくという気持ちをもって生活しよう。