第2章 研究の内容
T 情報報教育の目標
1 「生きる力」と情報活用能力
第15期中央教育審議会第一次答申では、今後の教育の在り方として、「ゆとり」の 中で子供たちに「生きる力」をはぐくむことが重要であると指摘している。
「生きる力」
@自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、
よりよく問題を解決する資質や能力
A「自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する 心」等の豊かな人間性
Bたくましく生きるための健康や体力
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「生きる力」とは変化の激しい時代を自分らしく生きていく人間としての基礎基本の力である。そこで必要とされるものは「不易と流行」という言葉に表される「時代を超えて変わらない価値あるもの」と「社会の変化に対応して変えていかなくてはならないもの」
の両面から考えていくことが大切である。
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不易-----------時代を超えて変わらない価値のあるもの
人間としての豊かな心 学習の基礎・基本など
流行-----------社会の変化に対応して、変えていかなくてはならないもの
新たな教育課題への対応 学力観の変容など
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1973年代のオイルショック以後、脱工業化を目指してきた社会の情報化は、想像をはるかに超えて、我々の生活様式を急速に変えていこうとしている。特に世界的規模での情報通信ネットワークは様々な分野で、新たな展望を開くものとして大きな期待を寄せられている。こうした時代を、人間として豊かに生きていくために必要とされる力が情報活
用能力であるといわれている。
教育課程審議会「生きる力の育成」として
「情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告の仕方などの
学び方やものの考え方を身につける」
情報活用能力は「生きる力の育成」を支える力 |
教育課程審議会が「生きる力の育成」の手段として「情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告の仕方などの学び方やものの考え方を身につける」と取り上げているように、情報活用能力は「生きる力の育成」と深く関わっている。
コンピュータ等を利用した教育の変化
初期 現在 |
情報
情報機器
情報通信ネットワーク
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知識
教師→児童
− |
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調べ、発信する材料
児童←→児童・教師・社会
社会とふれあう手段 |
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コンピュータについての教育 |
生きる力を育成する教育 |
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初期のコンピュータ利用の教育は、コンピュータ等の情報機器についての教育と考えられがちであった。それが情報化の進展に伴い、情報機器や情報通信ネットワークの普及、情報や情報手段の多様化が進み、情報機器は、教師の道具から児童の道具へ、情報は教師から受け取るものから、児童が調べ、発信する(コンテンツ)材料へと広がってきている。また情報通信ネットワークは学習の場を学校外へ広げ、社会とふれあうコミュニケーションの手段として取り入れられつつある。この様な教育活動は情報化の進展とともに、教師主体から児童主体の学習活動へ「学び」の内容や方法を変え「生きる力」を育成するために大きな役割を果たしている。
これからは、コンピュータをどう使うかという考え方から、情報化社会を生きていくためにコンピュータ等の情報機器をどう活用していくかという考え方に立っていくことが必要である。不易としての「情報を活用し将来にわたって豊かな生活をする」と流行としての「最新の情報機器を使った新しい学びや変化する情報化社会に対応した学習」をバランスよく行うことが大切である。また、児童の自ら学ぶ意欲を高め、思考力、判断力、表現力などを身につけさせ、生きる力を育成する教育を展開していかなくてはならない。