埼玉県立自然史博物館,自然史だより 第34号

今、あなたの疑問にこたえるハテナ?・ナルホド!展示

犬 木   勇

 10月7日オープンの「ハテナ?ナルホド!展示」は、皆さんの疑問に博物館の資料を使い展示で答える、県民と博物館との今までにないコミュニケーションを図ろうとする新企画です。
 展示内容の一部をご紹介します。


Q、ムササビとモモンガのちがいは? ムササビとモモンガは、分類学的にはげっ歯目のリス科に属し、どちらも空を飛ぶことで知られています。しかし、鳥のように羽ばたきながら自由に飛べる訳ではありません。一定の方向に、高いところから低いところへ飛び降りる際、前足や後ろ足を広げてその間にある薄い膜を利用してるのです。
ムササビとモモンガの主な違いをみると、次のような4点が上げられます。(1)体の大きさ ムササビの体長は30p位、モモンガは17p位。また、尾の長さが35p位と12p位、更に後ろ足は7pとpと4p位のように、モモンガよりムササビの方が大型です。
(2)皮膜の有無
 両種とも四股の間に大きな皮膜がありますが、さらにムササビの皮膜は首と前足の間、また後ろ足と尾の間にもあります。しかし、モモンガにはここの皮膜がありません。
(3)飛ぶ距離の違い
 ムササビは、普通100m位、長くて180m飛ぶと言われています。モモンガは30m位とムササビより短い距離しか飛べません。
(4)体の色の違い
 ムササビの成獣は茶褐色で、幼獣は黒っぽく尾が細いのに対して、モモンガは褐色から灰色まで個体によって変化があります。
 その他、この展示では、げっ歯類の説明、ムササビとモモンガの名前の由来、それぞれの分布図などとともに11点の剥製標本と2点の頭骨標本を展示されています。


Q、河原の石はなぜ丸い?
 河原の石は、丸いものが多くあります。しかし、よく見ると角張った石もあります。川を上流にさかのぼっていくと、角張ったものが多くなります。 石ころは山をつくっている岩がくずれてできます。できたばかりの石は角張っていますが、大水がでるたびに流されて転がったり、ほかの石とぶつかったりしているうちに、少しずつ角がとれて丸くなったのです。
 展示には、四角いレンガを実際に荒川で流した実物標本11点、源流の沢のパネルなど河原の写真パネル3点、石の種類によって丸くなる距離が違う資料6種18点、石ころの丸さを表す方法、石の形を表す方法など、パネルと実物の資料で展示いたしました。

Q、帰化植物ってナニ?
 横綱の曙やサッカーのラモス選手を思い出して下さい。スポーツ選手だけではありませんが、外国で生まれ育った人が自ら希望して日本の国籍を取得し、日本の国民となることを「日本に帰化する」といいます。これと同じように、栽培植物としての輸入をはじめ、他の輸入品に混じったり付着しての渡来など、何らかの方法で日本に渡来し、日本の気候や風土になじんで繁殖・生育するようになった植物を「帰化植物」と呼んでいます。
 展示には、埼玉県内に生育する帰化植物の種類を、原産地別に集計した表があります。それを見ると、中国やアジアから渡米した植物がすくないようです。それは、これらの地域からはすでに農耕の伝来とともに多くの植物が渡来し、歴史に残っていない帰化植物という意味の「史前帰化植物」とよばれています。スズメノテッポウやタカサブロウなどの水田の雑草や、ハハコグサやナズナなどの畑の雑草の多くは、この史前帰化植物と考えられているそうです。

 記録に残されている帰化植物は、おもに江戸時代末期以降に渡来したものが多く、文明開化に象徴される西洋との交流によってもたらされたものです。ヨーロッパやアメリカからの渡来・帰化植物が多いのはこのためと考えられているようです。
 展示では帰化植物の全体の解説のほかに、シマスズメノヒエ、セイタカアワダチソウ、ムラサキツメクサなど、5種類の帰化植物の標本が展示され、原産地や帰化の時代や生育地などの解説があります。
 以上の他に、今回の疑問にお答えしたテーマは次のようなものです。
1)蝶と蛾はどこで区別するのですか?
2)どういうものを化石と呼ぶの?
3)これは恐竜のタマゴですか?
4)石灰岩てどんな石?石灰岩の利用 ー身の回りにある石灰岩を探そう
5)この石の名前をももっと詳しく教えて?(石の名前あれこれ)
6)石の名前のつけかたは?
(長瀞河原の石の見分け方)
7)ポットホールって何?
8)なまえはだれがどのようにしてつけるのですか?

(いぬき いさむ・企画課長)


前ページへ目次へトップ・ページへ次ページへ