埼玉県立自然史博物館,自然史だより 第29号 1996.3

企画展 化石が語る埼玉の生いたち開催中!!

開催期間:平成8年1月6日〜6月16日(月曜日と祝日の翌日は休館)

地 質 課

3億年の歴史をタイムトラべルしよう

 埼玉県なかでもとくに秩父地方は化石の宝庫といわれています。埼玉県立自然史博物館では、3億年にわたる、埼玉の自然の生いたちを明らかにするため、化石資料の収集を積極的に行っています。
 そこで新たに収集した化石や初公開の標本などを中心に、4年ぶりに化石展を開催することにな りました。この4年間は、新種のチチブサワラや、関東地方で初めてのアケボノゾウの足あと化石などがあいつぎ発見されました。また、比較的資料の乏しかった白亜紀のアンモナイト類や氷河時代を物語る植物化石なども展示できる標本をそろえることがでさました。展示している化石は1647点に達しました。これらは、過去の多様な生物の一部にしかすぎません。しかし、化石たちは、アケボノゾウの親子が歩く第四紀の湿地帯や、巨大なサメがクジラに襲いかかっていた第三紀の海のようすや、アンモナイトがお昼寝していた白亜紀の海底のようすを語りかけてくれることでしょう。

主な展示品の紹介

アケボノゾウの足あと化石(模型)
 91年秋に台風で増水したあとの入間川の河床に現れて発見されました。入間川足跡化石発掘調査団により、3次にわたる発掘調査が行われ、アケボノゾウのものと思われる多くの足あと化石が確認されました この足あと模型は、発掘後に保存のため自然史博物館で型どりをしたもので、今回初めて展示するものです。ちなみに、現地の足跡化石はその後浸食により現在ではよく判らなくなっています。

古生代の海とウミユリ
 秩父といえば武甲山、武甲山といえば石灰岩が知られています。石灰岩を原料にしたセメントは重要な地場産業になっています。武甲山はほとんど化石がでませんが、秩父の各地に分布する石灰岩の中には、古生代の生物の遺骸がたくさん含まれており、代表的なものにウミユリがあります。写真では、白くて縦に長かったり、円く見えているものがウミユリの茎の部分の化石です。

第三紀の秩父,ミズナギドリの仲間が
大海原を優雅に飛翔していた

 写真はミズナギドリの仲間のヒジやスネの小翼の骨です。鳥類の骨は細くて繊細です。化石としては数が少なく貴重な資料です。ミズナギドリは比較的沖合の海に生活する鳥です。このことから、かつては秩父地方でも広く海が広がっていたことがわかります。

「秩父古生層」の歴史を塗り替えたミクロの化石
放散虫

 三角のスナック菓子のような形をしている小さな化石が、放散虫です。この写真は電子顕微鏡で見たものです。放散虫は 0.1〜0.2 mm 程の原生動物で、ガラスと同じ成分の殻を作るので化石として残りやすいのです。時代によって様々な形があります。「秩父古生層」から中生代ジュラ紀を示すものが見つかり、地史が書き換えられつつあります。

アケボノゾウの楽園の森の植物
オオバタグルミ

 クルミの仲間の化石種ですが、現在のクルミと比べて、核に深い溝が発達することが特徴です。加治丘陵や入間川河床などで見つかります。アケボノゾウが足あとをつけた湿地の周りには、メタセコイアやオオバタグルミが茂っていたのでしょう。

 次の方々の協力・資料提供をうけました。
   飯 島 治 男 氏
   酒 井 直 一 氏

−表紙写真−
異常巻アンモナイト、山中(さんちゅう)地溝帯白亜紀層産
(酒井直一氏所蔵)


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