武 井 ケン 朔
ま と め
以上に述べたことに,今後の検討課題を付記して,本論のまとめとする.
(1)関東山地にみられる断層には,方向性に基づき,次の4系統が識別できる(ただし,衝上断層は除く).(A)NW〜WNW系統(縦走断層),(B)NNE系統(横断断層),(C)NS〜NNW系統,(D)EW〜ENE系統.
(2)このうち,AとBの形成時期は一般に古いが,生成後も何度も活動していると思われる.とくにBは,関東山地の西半部において顕著なものがみられる.そのうちあるものは,中新世以後の火成岩や堆積岩がそれに沿って分布することから,中新世以後の活動があったことを示している.
(3)−方,CとDは一般に形成時期が新しく,関東山地およびその内部の地塊化に重要な役割をはたしていると思われる.
(4)新期の断層のうち,Cの断層に関連し,東西両側をそれぞれ,鬼石−五日市線,万場−小河内線で限られた,幅15kmで北北西−南南東方向にのびる,神泉−奥多摩帯(地塊)を識別することができる.この地帯を境にして,関東山地は,内部の地塊化の著しい東部と,中新世以降の深成岩,火山岩などの活動舞台となった主部とに分けられる.
(5)神泉−奥多摩帯は,全体として,東に傾斜する地塊とみられる.また,この地帯の内部にDの断層に限られた南へ傾斜する地塊として,秩父盆地が中新世の堆積盆地として生じたと思われる.五日市盆地も,同様に,神泉一奥多摩帯内での南への傾斜により生じたものと思われる.
(6)甲府深成岩体の貫入により,関東山地主部の隆起と,神泉一奥多摩帯の東への傾斜ないし撓曲が生じた.一方,神泉−奥多摩帯より東側の関東山地東部が,南へ移動する傾向を示し,これに伴い神泉−奥多摩帯内部にDの断層が生じたとみられる.
(7)神泉−奥多摩帯は,関東山地内部の一地帯(地塊)として認定されるものであるが,この地帯にみられた運動が,関東山地内部に限定されるものかどうかは,今後の検討課題である.また,関東山地の四囲の断層の活動,および山地内部の例えば東部地域における地塊化などと,本論で述べた運動との関連も,残された課題である.
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| 第2図 神泉−奥多摩帯の形成の概略. |
Kensaku TAKEI
Abstract High-angle faults of the Kanto Mountains can be classified into the following four groups : (A) NW〜WNW trend (longitudinal fault), (B) NNE trend (transverse fault), (C) NS〜NNW trend, and (D) EW〜ENE trend. Although movement along each individual fault may have occurred many times, the fault (A) and (B) seem generally to have been formed earlier than (C) and (D). Kamiizumi-Okutama Zone (Block), proposed in this paper, NNW trend and about 15 km width, and Chichibu Basin in this zone are likely to have been primarily formed as a result of the Miocene block movement associated with the fault (C) and (D).
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