本 間 岳 史
お わ り に
結論を以下に記し,本論のまとめとする.
(1)荒川中流に露出する楊井層は,下位から,砂岩優勢の砂岩・泥岩互層や厚い砂岩層を主とする下部層,凝灰岩層をはさみ,多数の原地性直立樹幹化石で特徴づけられる中部層,および厚い礫岩層や凝灰質の砂質泥岩層などからなる上部層に3区分される.
(2)本地域の土塩層と楊井層とは,両層の岩相,堆積環境,および構造の連続性などから,整合漸移の関係にあると判断される.なお,楊井層の基底は,渡部ほか(1950)にしたがい,薄い礫岩層が出始める層準とした.
(3)楊井層の中・上部層中には,6枚の凝灰岩層(Y−1〜6)が認められる.凝灰岩層は,紫蘇輝石安山岩質および複輝石安山岩質のもので,わずかに角閃石安山岩質ないし石英(?)安山岩質のものを含む.したがって,土塩層中の凝灰岩層と比較すると,より苦鉄質成分に富んでいる.
(4)楊井層の中・上部層は,原地性と思われる炭化した直立樹幹(株)の化石や木の葉などの植物化石を多産し,しばしば,薄い亜炭層をはさむ.これらの葉化石等の種構成は,温帯性落葉広葉樹に,暖帯性ないし,暖温帯性落葉広葉樹を混じえたもので,湿地生もしくは水辺生のものが圧倒的に多い.また,年代的には,最上部中新統から最下部鮮新統にかけての植物化石群と類似する.
(5)堆積物の特徴や産出化石などから,楊井層下部層は,浅海もしくは汽水成層,同中・上部層は陸成層であると考えられる.とくに,楊井層中・上部層は,水辺生植物化石を多産し,走向方向の岩相や単層の層厚変化が著しく,いくつかのオーダーの堆積サイクルが識別できるので,湿地もしくは沼地,ならびに河川の堆積物であると考えられる.
(6)楊井層の下部と中・上部とでは,堆積物の特徴や植物化石の産状など,様々な点で異なることから,かなりの環境変化があったものと予想される.したがって,土塩層と楊井層との累層境界については,検討の余地があろう.
(7) 下部平方凝灰岩は,岩相および岩質,下位および上位の地層の重なり具合などから,板鼻層中の館凝灰岩(高柳ほか,1978)に相当するものであると考えられる.
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第2図 荒川中流中新統地質図. 1.第四紀礫層.2〜4.楊井層(2.上部層,3.中部層,4.下部層),5〜6.土塩層(5.T−4砂岩泥岩層,6.T−3泥岩層),7.凝灰岩層,8.断層および節理,9.走向・傾斜,10.河床砂礫,11.雑草・かん木,12.段丘崖.
Fig. 2. Geological map of the Miocene series in the middle part of the River Ara-kawa. |
Takeshi HOMMA
| Yagii formation | Upper member (157<) Middle member (68〜80m) Lower member (82m) |
Yagii formation is composed mainly of conglomerate, sandstone and sandy mudstone and is intercalated with thin tuff beds and lignite beds. Abundant plant leaf fossils of the temperate zone type are contained in the Middle and the Upper member. These members are abundant in autochthonous erect stump fossils and may be regarded as terrestrial sediments.
The Lower Hirakata tuff intercalated in the lower horizon of the Middle member is a coarse grained pumice-tuff containing a large quantity of hypersthene crystals. Judging from the similarities in lithology and stratigraphical sequences, the Lower Hirakata tuff may be correlative with the Tate tuff intercalated in the Itahana formation.
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