上 野 輝 彌
は じ め に
秩父郡小鹿野町般若の秩父セメント粘土採石所内において,1983年3月2日大型魚体化石の一部と思われる資料が発見された.発見および採集者は坂本道夫氏で,標本は埼玉県立自然史博物館に寄贈された.
化石産出地は,秩父盆地のほば中央部に位置し,中期中新世の秩父町層群奈倉層からなる.化石は細粒砂岩の団塊(長径約60cm×短径約50cm)に包含されていた.同所からは,Paleoparadoxia tabatai(TOKUNAGA)の般若標本(坂本,1983)をはじめ,多様な海棲脊椎動物化石が産出している.
筆者らは,この資料について化石の剖出を試みた.その結果,保存良好なサバ科魚類の頭部骨格で,ほぼ完全な頭蓋を包含している事実が判明した.筆者の1人上野は,アメリカ合衆国国立自然史博物館(ワシソトンD.C.)に保存されている資料との比較を行ない頭骨の形態的特徴から,この化石はサワラ属Scomberomorusに属すると判断した.
本邦における同属および近似種の産出は,極めて数少なく,頭蓋の報告は岐阜県瑞浪層群より産出したカマスサワラ属(大江ほか,1981)が知られるのみである.今後重要な比較資料と考えられるので,ここに標本の概要を報告する.
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| Plate I . A photgraph of the specimen of Scomberomorus sp. from a Miocene bed in Chichibu Basin, Saitama Pref.. |
Teruya UYENO
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