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てっちゃん(1)

(坂出市)

 

 八十場という無人駅に降り立つ。大変寂しい駅であった。駅前の一等地に墓地があるだけで他には何もない。駅前の広い通りを高松方面に歩いて進む。道沿いに「てっちゃん入口」という看板を見つけ、わき道に入り、小学校の前を通り過ぎて、少し進むと、田園風景の一角にうどんの文字を見つけた。セルフらしい。もっと、窓が広くて、開放的なうどん屋かと思っていたが、意外と密室的である。店の前の壁には、いろんな能書きが、たくさん書いてある。10人くらいの団体客が、満足そうに店から出てくるところだった。

 団体客とすれ違いに店内に入り、事前のリサーチにより、この店で一番人気という肉味噌温玉うどん(小420円)を注文した。先に小皿を寄越して、これにネギをとって、席で待っているように伝えられたので、端っこのほうの席に座り、うどんが、できあがるのを待つ。客は他に2人しかいないが、にぎやかな感じの店内をきょろきょろしながら、待っていると、そのうち、うどんを持ってきてもらった。

 いい感じである。麺の上に肉味噌がのり、その上に温玉つまり、半熟たまごがのっている。出汁は入っていない。肉味噌をうどんに絡めて、食べる趣向らしい。肉は、ひき肉を使っていて、味噌は辛めの味噌である。温玉の黄身と白身とうどんと肉味噌が絡み合って、まことにうまそうである。時間帯が悪かったか、麺は少し茹で置かれたようなものであったが、それでも満足感は充分に残った。前の讃岐製麺所で限界だと思っていたのに、するする胃に入っていく。それにしても、今日は、肉系が、多かった。いかにうまい讃岐うどんといえども、さすがにシンプルなうどんの連食だけでは、飽きてしまうので、適度に肉系のうどんを入れるのが、ツアーを楽に続けるこつである。

 店を出て、駅に向かって歩き始めると、小学生がランドセルを背負って下校中であった。夕方のやさしい陽射の中、こんな広い田んぼの中を、通学できる子供は、幸せである。八十場駅に到着したが、なかなか電車が来ない。いや、たまに来るのだが、停まらずに通過していってしまう。こんな駅でボーと過ごす時間も人生には必要かもしれない。と肯定的に考えよう。あ、やっと、電車が停まった。と思ったら、反対車線だった。公共交通機関と徒歩でほとんども讃岐うどん屋に行ってしまうという別府君スタイルは、なかなか味があってよい。

平成16月9月3


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