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すみた(18)

(十条) 

 

 とある日、メールボックスを覗いたら、讃岐うどんMLの忘年会が開催されるとの通知が入っていた。会場は、毎度の十条すみたである。すみたは、原則14人しか入れないから、人数限定で、ゲリラ的に募集された。少し、模様眺めをしていたら、一日たたずに、募集が締め切りになりそうだったので、急きょ参加の意思表示をしてしまった。

 やがて、忘年会当日になり、午後から、休暇をいただいて、ゆっくり、すみたに向かおうとしたら、急に上司から用をいいつけられてしまい、出遅れてしまった。極東チベットに住む私には、やはり十条は遠い。宴会開始予定の6時の1時間遅れ、7時少し前にすみたに到着した。ひさしぶりに、すみたのうどんにありつけると、うきうきしながら、ドアをあけると、見なれた顔が、拝見できた。新しい顔ぶれもある。

 席のはじの方にすわり、日本酒を注文する。日本酒の事は、全然わからないが、貴重な酒だそうである。たしかに旨い。おでんやくわい、にんにくの天ぷらなどを肴に酒を飲んでいると、讃岐うどん関係のビデオ上映がはじまった。なにやら、わけわからないが、価値ある映像らしい。やがて、ひとりずつ自己紹介した。福島から参加しにきたというすごい方もいた。来年の一月は、極東チベットツアーをやろうなどと、うそぶく者もいた。

 そうこうしているうちに、よく、見ると、わたしのうどん打の師匠である寿@大宮さんが、神聖なるすみたの厨房に入り込んで、なにやら、うどんを茹でている。そして、寿庵特製うどんが、できあがる。鴨汁で提供された。緑水晶で打たれたそうだが、上手にできあがっている。趣味のレベルでこれだけのうどんなら、本物のうどん屋の立つ瀬がない。すみたの大将も腕をあげたと絶賛していた。本人は、野望を隠して謙遜しているが、明日開業するというメールがいつ、流れても驚かない。すみたの大将がつくるうどんとは、方向性が違うので、その対比も楽しめた。また、先日、イーハトーボで、緑水晶を使ったうどんを食べる幸運に恵まれたが、同じ緑水晶でも、作り手によって全然違う。

 たけやす隊長が、おれは、あと何年かでうどん屋を開業すると断言する中、レインボーうどんを試食しようという話がもちあがってきたので、レインボーうどんが、できあがる前に退散しようと、かしわざるを注文した。宴会は、最高潮に盛り上がる。少し見ない内に大将は、少し太ったような感じがしたが、きっと、うどんを打つための理想体重を追い求めた結果だろう。すみたのうどんは、いつも、高いレベルで安定したできばえである。それでも、研究熱心な大将のことだから、少しずつ変化しているに違いない。変化といっても、何かを捨て、何かを取り入れるという損得勘定のようなものでないので、変化というより、進化しているというのが、正しい。そろそろ、レインボーうどんが茹であがりそうだ。私は、チベット地方に住んでいるから、遠いので先に帰ります、と、レインボーうどんができあがる前に、忘年会を退席できると言う幸運に恵まれた。 

 

2001.12.12


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