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すみた(12)

(十条)

 

 仕事が終わって、生ビールでも飲みたい。当然、旨いつまみが、欲しい。ちょっと腹も空いたなあ。ここから、十条までは、電車ですぐだ。こんな条件を与えられたら、誰でも十条「すみた」でおでんをつまみに生ビールを飲んで、仕上げにうどんを食べて帰ろう。こういう結論になるのは、当然であろう。

 もちろん、私にもそれ以外の発想が浮かばないので、当然のごとく、その結論に従った。よくよく考えると、この行動は、発想云々というより、もはや習慣になっているのかもしれない。

 埼京線の十条駅を降りた私は、急遽、いつも通る商店街でなくて、狭い路地を通り抜ける裏道ルートを開拓しようと、思い立ち、細いわき道を進んだ。こちらの路地は、商店街のようなにぎやかさはないが、東京の下町独特の風情があると思う。途中お寺を発見し、四国88箇所と由縁のあるお寺らしいことがわかった。すみたとこのお寺の位置関係は、偶然なのか、必然なのかわからない。迷路のような路地を抜けて、右往左往しながら、すみたにたどり着いた。わざと脇道にそれることによって、迷路に迷い込み、はじめて、すみたにたどり着いたときの発見したぞという感覚を少しは取り戻すことに、成功したようだ。

 店に入ったのが夕方5時くらい、夕方の営業がはじまってすぐなので、客は私だけだった。カウンターに座り、とりあえず、生ビールを注文した。そして、おでんの盛り合わせを注文する。夏の5時は、まだ、明るい。こんな時間のすみたもなかなかいい。通りの人通りが、だんだんにぎやかになってくる。おでんを食べおわったので、かしわざるを注文した。待つこと10分くらい、来ました。かしわざる大盛りです。

 いつもと別のルートですみたに行ったにしても、やっぱり、いつものすみたのうどんだった。(あたりまえだ!)すみたまでに行くルートを変えることによっては、すみたのうどんは、変化しないことが、証明されたわけである。もちろん、うどんを食べている間は、そんな難しいことは、考えない。靴下を脱いで、清流に足をふみいれるような爽快感があるなあ。そんなことを考えながら、うどんと幸せを噛み締めた。

2000.7.28


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