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さわだ

(東村山市)

 讃岐うどんのだいご味に、発見したという感覚がある。また、その発見を通じて異文化に接触したかのような、とまどい、そして、驚きがある。うどん不毛地帯と言われるここ極東の地では、この原体験を感じることは、少なかった。ひさしぶりに、この発見したという感覚が、よみがえってきた。店の場所は、よくわからないが、入間方面でうどん屋をステルスしていたときのことである。たまたま、道を間違えて、Uターンしようと思って脇道に入ったが、細い道が続き、住宅街の真ん中に入り込んでしまった。広い道にでようと、そうこうしているうちに、一軒のうどん屋を発見した。一見普通の家にも見えるし、なにかの工場にも見えるが、うどん屋と小さく手書きで書いてあるし、うどんというのれんもかかっているので、おそらく、うどん屋に違いない。む、ここのうどんは、きっと当たりだぞ、穴場だ、そう直感した。

 おそらく、店と思われる建物の奥に割合広い場所があり、車がたくさん止まっている。おそらく、ここが、駐車場だと、推論して、車を止めることにした。おそらく正面と思われる入り口らしき場所から進入を試みる。古びたサッシのドアを壊さないように慎重にドアを開けた。正面には、厨房。おばちゃんが何人か、うごめいている。天ぷらも見えた。左側と右側の奥には、客席がある。思ったより広い空間だ。雑然かつシンプルな雰囲気が、ある。左側には、うどんを入れる木箱がつまれ、右側には、黄色いおしぼりが、おいてある。メニューは、壁に貼ってあるだけだが、300円からと安めの設定。本当は、冷たい盛の肉汁うどんが、食べたかったのだが、雰囲気に押されてしまって、メニューの中で最初に目に入った肉うどんを注文してしまった。大盛りでも400円である。広間で待つこと10分くらい。客層は、近くの工場関係らしい男の客が多い。値段からすると、大盛りといっても、そんなに大盛りではないと、勝手読みをしていたが、実際は、かなりの大盛りでびっくりした。さつまいもの天ぷらも普通の大きさのものが、2つもついて、これで50円である。一緒に大根の漬物もついてきた。肉は、かなり大きい。こんなに大きい肉が入っている肉うどんは、食べたことがない。もちろん、そんなにいい肉じゃないが、私は、こういう肉が好きである。これで、450円とは、ちょっとしたカルチャーショックである。汁は、極東標準で、いやみもなく、普通においしい。麺には、緊張感が不足しているが、マイルドで落ち着いていて安心できる。

 讃岐うどんとちがって、かめないから、かまないで飲み込もうという固さでなくて、かんでも、かまんでも、同じだから、かまんでもいいや。そういう感じの柔らかさである。いつか、とある讃岐うどん屋で、近くに座ったおばあさんが、孫に、うどんは、かまずに飲み込むのが、通だけど、やっぱりよくかんだほうがいいよ。と教えていたが、もし、このうどん屋で、同じようなシチュエーションだったら、よくかんだほうがいいよ。とは、いわなかっただろう。麺には、よく汁が染み込む。麺の長さは、適当というか、このタイプのうどんなら、いくら長くても、すぐ切れるので、長さはそれほど、問題ではない。太さは、若干太目である。地粉系っぽい。麺の表面と内側の食感が、同じ。土着に発生したうどんで、近隣住民の生活に密着しているうどん。このうどんこそ、武蔵野うどんの典型である。武蔵野うどんは、何軒か食べ歩いても、なかなかその真の姿が見えてこなかったのだが、ようやく、そのスタンダードを発見することが、できた。

2001.11.9


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