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明洞餃子

(ソウル)

 

 冬のソウルは、寒い。東京の夜の寒さより、ソウルの昼の寒さの方が、もっと寒い。日本でいえば、青森と同じくらいの緯度に位置するから、冬の青森の寒さを経験したことがある者は、どの程度の寒さか想像できるだろう。有名なソウルタワーのある南山から、明洞にかけては、日本統治時代に日本人街があったとのことである。こんな寒い夜でも、明洞は、にぎやかだ。韓国独特のハングル文字さえなければ、日本の都会の風景とそれほど変わらない。寒い割には、それほど厚着の人は少ない。これだけの寒さも慣れで解決できるレベルのものなのだろうか。KPOPのカセットテープが、並んでいる屋台がある。もちろん違法コピーに違いないだろうが、これだけおおっぴらに売っていて、大丈夫なのだろうか。こっちが、心配したくなる。

 韓国には、カルククスといううどんのような食べ物があることは、最近知ったが、せっかくなので、食べてみることにした。にぎやかな通りをあっちこっち探して目指す店を見つけた。韓国語で書かれた大きな看板の下には、漢字で明洞餃子と書いてある。店の中に入ると、奥が座席になっていて、2階にも席があるらしい。どちらの席に座るにも何人か並んでいた。とりあえず、待合い用の席に座り、順番を待った。入り口付近は、ちょっとした高級感がただようが、順番が来て、奥に入ると逆に庶民的な雰囲気がただよっている。庶民的というより、アジア的といった方が近いだろう。二人掛けのテーブルの真ん中に曇りガラスの仕切がついている席に案内された。このフロアだけで、50人くらいは、処理できそうである。店員の数も多い。もちろんコリアン美人の店員も多い。日本語でメニューが書いてあるので、安心である。といっても、メニューは、4種類しかない。大きな写真もついている。韓国語は、もちろん、日本語ができなくとも、この写真を指差せば注文できそうである。カルククスと餃子、ビビン麺ともう1種類。このもう1種類は、選べなかったので、夏用のメニューかもしれない。もちろんカルククスを注文する。お代は、先払いだという。これだけ立派な店で先払いは、ちょっと違和感があるが、メニューに表示されていたとおり、5000Wを店員に支払う。やがて、韓国の食堂では、当然のキムチと水が到着したので、パクパク食べながら、待つこと10分位、カルククスが到着しました。

 思ったより大きな器に入っている。やっぱり、韓国は、どこでも大盛りだ。この店の次は、サムゲタンとジンロをいってやろうと思っていたのだが、この盛りを見て、あきらめた。不揃いで柔らかそうな麺に白濁のスープ。麺の上には、ワンタンときゅうり、肉が乗っている。まずは、汁をすする。これまで、飲んだことのないような味。でも、懐かしい味。魚系が主の出汁ではない。なかなか旨い。麺は、讃岐うどんとは、全然違う方向である。手打ちかどうかは、わからないが、麺の太さが不揃いなのは、手切りだからだろう。どのうどんと近いというより、佐野ラーメンの山銀の麺に近いと思う。この店は、日本人観光客も多いし、それほど、期待してなかったが、日本のうどんが、進化する過程で失ってしまったものが、このカルククスといううどんには、たしかにある。実は、韓国でも、うどんは、うどんで通用する。ソウルの町中でも何件かうどんと書いてある店を見かけた。このうどんを食べている暇はなかったが、おそらく、韓国独自に発生してきたものでなくて、日本から輸入されたものだろう。太古の昔、韓国人が、未開の日本人にあらゆる分野の技術を教えた。そんなことを、真面目に論じている本がある。その中には、うどんも入っていたのだろうが、このカルククスとうどんを食べ比べてみると、そんな物語が、真実であるとは、到底思えない。文明の優劣を論じることが、無意味であるのと同じく、カルククスとうどんの優劣を論じることは、無意味であろう。空腹を満たし、身体も暖かくなってきたので、次なる目的地東大門市場に向かった。

 

平成13月12月26日

 


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