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久兵衛屋
(川本町)

大型店舗のチェーン店は、そこそこ旨くて、期待を裏切られることは、少ない。そもそもそんなに期待もしていない。でも、どうしてもあの店の料理が食いたいという欲求が、生じることは、まれである。だいたい、他に行きたい店がない、じゃあ、あそこ行こうか。その程度の発想であろう。とはいえ、うどんを主メニューにしている大型チェーン店は、それほどあるわけでは、ないだろう。そして、いわゆる武蔵野系うどんを売り物にする大型チェーン店は、ここぐらいしか、私は知らない。
国道140号を熊谷方面に向かう。大きな交差点にある目立つ店だから、140号をよく使う人はこの店を知っているに違いない。当初小川町のイーハトーボにしようと思っていたのだが、たまには、違うとこ行ってみようかー。という安易な発想で、この店に行ってみることにした。大きな駐車場、店の外からガラス張りでうどんを打つ場所がみえる。どうやら手打ちみたいだ。でも、私が行ったときは、打っている人がいなかった。店に入ろう。広い店内、100人くらいは、こなせるくらいの広さ、スタッフもそれなりにたくさんいる。奥の方の明るい席を確保した。お茶は、セルフサービスである。私はこの方が、うれしい。その分を価格に反映してもらったほうが、得策だ。メニューを眺めたが、比較的安い。小食な人なら500円もあれば、1食を賄えるはずだ。

武蔵野系うどんらしく、肉汁うどんを注文する。お昼時で店が込み合っていて少し待たされたが無事、肉汁うどんが、到着した。なかなか旨そうだ。ひとくちうどんをすする。うーん、讃岐うどんのような腰はない、武蔵野系うどん独特の柔らかい麺だ。そういえば、店内には、やけにお年寄りの姿が多いのも、この柔らかさに起因しているのだろうか。
私は最近手打ちうどんを開始し、さっそく甥とか姪にうどんを作ってあげたが、やはり柔らかいほうが、いいらしい。とかく、うどんは、固くって腰があればいい。そういう単純な幻想にこのうどんは、警鐘を鳴らしている。そして、かみ締めると麦の香りが広がる。これも武蔵野系うどん独特であろう。讃岐うどんには、ここまでの麦の香りは残っていない。正直言って旨いと思った。それから、私の想像だと、讃岐うどんの作り立ては、すごく、旨いが、その旨さは、時間とともに急降下していってしまう。反面武蔵野系うどんは、時間とともに旨さのカーブは、降下はするが、讃岐うどんほど、急激なカーブを描いていないと思う。このうどんが、20世紀最後に食べたうどんであった。
2000.12.23
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