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小島屋
(東村山市)

東村山駅で降りて、有名な「きくや」といううどん屋に向かうことにした。もっとも、今回は、それとは、別のうどん屋のステルス報告である。きくやは、駅から離れていると、聞いたので、タクシーを使うかと考えたが、韓国の安いタクシーならいざしらず、たかが、うどんを食べにいくのにタクシーは、贅沢すぎる。それに歩けば、腹ごなしにいい運動になる。最近体調を崩し、寝込むことが、多かったので、久しぶりに長距離を歩くことにした。秋、風がなくて、ほのぼのと暖かい、歩いていて気持ちよかった。
しかし、目的地は、思っていたより遠く、徒歩で行くという決断を後悔し始めた頃、一軒の古びた建物が目に付いた。うどんというのれんが、かかっている。えー。何これうどん屋?製麺所か何かかな?と立ち止まって様子を伺っている間に客らしき人がのれんをあげて、建物の中に吸い込まれていく。香川県でうどんツアーをした時にも古びた建物のようなところで、うどんを食べたことがあるが、それと同じように非日常にトリップした感覚。うどんと生活が密接に絡み合っている背景がなければ、こんな感じの店が存在していることは少ないだろう。こういううどん屋があるということは、うどんが、地域に根付いていることの証明である。
少し眺めていたら、むしょうに、この店のうどんが、食べたくなり、のれんをくぐることにした。店の外観から想像したのに違わず、店の中はおせじにも、きれいとはいいずらいが、整理はされているし、清潔感はある。テーブル席4つくらい、奥の方に座敷も見えたが、あれは、客席なのか、それとも、普通の居間なのか、あるいは、両方を兼ねているのかよくわからない。暗い感じの店内。おじさん客が数人。壁に車だん吉のサインが、飾ってある。壁にメニューいや、品書きがあり、この地域の標準と思われる肉うどんを注文することにした。

意外に早くうどんを出してもらった。店に入ったのがジャスト12時頃だったので、客を見込んで、茹で置きしてあるのだろう。ふわふわした感じの柔らかいうどん。腰などは、ほとんど感じられない。麺の太さが、不均等ゆえに、太い部分は、少し固めになるようだ。この地域には、珍しくわさびでなく、しょうがが、添えられている。並みの量は、一食として考えたら、ちょっと、少ないか。
いつか、武蔵野うどんは、水に塩を溶かさずに、うどん粉に直接、塩を入れて混ぜてから、水を加えるようなことを聞いたことがあるが、おそらく讃岐うどんの理論とは、別の文化が、存在しているのだろう。讃岐うどんを食べる際には、これからこのうどんに立ち向かうのだという気合みたいなものが、必要だが、ここのうどんは、心の底から、安心して油断できるような脱力感がある。仮に讃岐うどんのものさしをあてはめると、評価は高くないだろうが、このうどんを食べながら、そんな評価をする行為こそが、無意味である。同じうどんと名のつく食べ物でも、求めるものが違う。で、私は、けっこう、気に入った。ここまで、かなり歩いて大変だったが、それでもまた、来たいな、そういう満足感が残った。お代を払おうとしたら、店のおばちゃんに、いいカメラ持ってるね。私も撮って。と言われたが、なんとか、ごまかして、東村山の郊外に向かった。
2001.10.20
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