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北山(1)
(高松)
私の高松での定宿は一泊2500円くらいの安いホテルである。市街地まで少し遠いことは遠いが、歩いていくことができるので便利な立地だ。2泊3日で宿泊費5000円、高松での移動は1日100円のレンタサイクル、目的のうどんはたくさん食べても安いし、10000円あれば、夢のような滞在期間をすごすことができるはずである。
朝早くホテルの受付に鍵を預けて、青いレンタサイクルにまたがり、うどん行脚を開始する。今日は、高松の西方面を開拓するつもりだ。まずは、農協に裏にあるという久保に行ってみたが、まだ店が開いていないため、周りをうろうろしていたら、久保のおばあさんが、でてきて、ここに行ってみたらと北山を教えてくれた。他にめぼしをつけていたうどん屋もないので、おばあさんの助言にしたがって、北山を目指すことにした。JRの線路添いを南下する。当面の目的地の鬼無の駅前に到着した。
久保のおばあさんが言うには久保と同じようなうどん屋だと教えてくれたので、久保みたいにわかりづらい立地なのかなと思ったが、発見してみると、駅前数秒、看板あり、という明瞭な立地であった。製麺所タイプでなく、セルフタイプの大衆店らしい。まだ時間が早いので他に客は、誰もいなかったが、スペースの広さや、セルフの小道具などから、それなりに繁盛している店だと想像した。天ぷらをみると、豆の天ぷらがおいしそうだったので、とることにした。
うどんは、好みのタイプ。出汁もおいしい。香川県内では、そんなに有名店ではないと思うが、いぶし銀の実力を持つ。将棋で言えば、桐山清澄先生あたりの指す将棋のポジションにある。日本の文化論に「ケ」と「ハレ」の話があるが、このうどんを「ケ」と「ハレ」に分類したら、おそらく「ケ」のうどんに区分されるだろう。昨今の讃岐うどんブームは、「ハレ」のうどんという派手で珍奇な方向にばかり目を向けられてきた節があるが、「ケ」のうどんを忘れてはならないと思う。人生の大半は「ケ」の日であるので、「ハレ」の日より「ケ」の日をどう過ごすかということのほうが、かなり重要である。讃岐うどんブームの行き着く先は、「ケ」のうどんが真価を発揮できるか否かにかかっている。
平成14月11月22日
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