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田舎っぺ(熊谷北店)
(熊谷)

讃岐が、うどんの王国であることは、誰もが認める事実である。そして、讃岐の民が、東京方面、つまり極東方面のうどんを食べて、失望感をもつという話は、よく聞くところである。しかし、後者の話には、ちょっと異義を申し立てたい。極東地方の並以下のうどんをちょっと食べたくらいで安直に結論を出してしまうのは、早計である。つまらない思い込みと傷付きやすい自尊心だけでは、単なる田舎者に陥ってしまうという愚を犯すことはできても、素敵なうどん人生を歩むことは、できないであろう。
梅雨の合間の天気が良い日だった。最近、ノートパソコン用のGPSを導入したので、助手席にシンクパッドをのせて、ナビをしてもらいながら熊谷方面に向かう。宇多田ヒカルのCDを聞きながら、そして、先日、ツタヤでこの宇多田ヒカルの新しいアルバムを借りたときに、試供品でもらった南アルプスの天然水を冷蔵庫で凍らせたのを溶かしながら飲みつつ、熊谷方面に向かった。少し出遅れたので、1時頃到着しそうだ。人気があるうどん屋で売れ切れということもあるようなので、心持ち車のアクセルを強めに踏んだ。1時頃田舎っぺに到着した。この場所にこのうどん屋があるのは、知っていたが、「田舎っぺ」といういかにもな、店名なので、食指が、動かなかった。
1時過ぎというのに、駐車場には、車がいっぱい。ようやく、駐車場所をみつけて、駐車した。のれんが、やぶれかかっている。それだけ、客の出入りが激しいことの証明であろう。入り口の左側には、おばさん、おねえさんが、何人かで、うどんを打っている。広い店内は、満席で活気がある。営業マンぽい感じの客が多い。10人くらい行列していたが、少し待って、座席に案内された。カウンターの席で厨房の様子がよくわかる。少し小振りな大釜が、3つ鎮座されていて、フル回転している。肉ネギうどん系の材料が、山とつまれている。6つあるガスコンロを使って、汁をつくっている。団子状態の生地が、延ばされて、麺になり、釜で茹でられて、無造作かつ緻密に盛り付けられ、客の目の前におかれる。うどんを作る個々の工程に卓越した技術があるに違いないが、その個々の技術を集約したうどん屋としての本質にあるもの、言い換えれば、うどんにかかる人と物が共鳴して生み出される総体的な意思、その意思の流れの中で、ダイレクトにうどんを味わうことができるような心地よさがある。

メニューは、壁にいろいろ貼ってある。定番の肉ネギうどんを注文しようとしたが、よく見ると、同じような塩肉ネギうどんというメニューを発見し、おもしろそうだったので、この塩肉ネギうどんを注文することにした。あわせて、きんぴらごぼうを注文した。こんなに太いきんぴらごぼうは、食べたことがない。量もたっぷりある。意外に待ち時間が、長かった。なにやら、3kgうどんというのもあるらしい。3kgほどのうどんを一度に食べるような人がいるのだろうか?いな@青梅さんをはじめとする極東の勇士以外に。
待つこと10分くらい。うどんがきました。塩肉ネギ汁とは、こういうものか。醤油の代わりに塩を使った汁である。塩ラーメンと醤油ラーメンの違いに通じるものがある。魚系の出汁より、豚系の出汁を強く感じる。本場讃岐うどんの汁も透明系であるが、それ以上に透明である。こんなに透明な汁でうどんを食べるのは、今日がはじめてかもしれない。少なくとも記憶にはない。やみつきになりそうな汁である。麺も良い出来である。柔らかさと弾力の強さを高いレベルで、両立している。切り口は真四角に近い。さわやかでキレが良い。麺と汁の絡みも絶妙。都会に出てきた田舎者が、偶然と運だけで、次々と難問をクリアーしていくような爽快感を感じた。
平成14月7月6日
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