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井筒

(高松)

 

高松駅は、依然仮の駅舎で営業している。前に来たときよりも新駅舎の工事は進んでいるようであった。改札の前にある立ち食いうどん屋をやりすごし、改札口を抜けて、駅前に出た。サンライズ瀬戸号は、食堂車も食べ物の自販機もない。到着が少し遅れて、空腹が耐え難くなってしまっている。はやく空腹を癒したい。

コトデンの高松築港駅方面に歩き始める。歩くこと数分と数秒、あった、落ち着いたグレー系統の角張った外装、セルフのうどん屋というには、どっしりしている店である。最初、うどん屋とは、思わずに通りすぎてしまった。この井筒といううどん屋は、歴史があるらしい。さぬきうどん全店制覇2によると、明治36年に創業されたそうである。高松市では、2番目に古いうどん屋である。

店の中は広くて割合さっぱりしている。窓際にカウンター席が並ぶ。セルフなので、丼を手に取り、小を注文して、麺を自分で茹がいてから、いもの天ぷらをのせて、勘定を支払った。合計210円である。出汁は、大きな金属製の容器に入っている。これだけの大きさだから、毎日かなりの人数がうどんを食べにくるのだろう。

小という割には量は多かったような気がする。しっとりした感じの麺、色つやとも申し分なし。セルフでこれだけの麺を食わせる実力に感激した。そして、麺1本1本がしっかりしている。ほぼ真四角の切り口は、それほど固くはないが、十分腰がある。麺は太い。数本まとめて口に入れるには、ちょっときついなと思わせるくらいの太さだ。私的にはほぼ理想の太さではある。

そして、この麺は、正々堂々としている。伝統を真正面から受け止めて、その時代時代の解釈の違いはあるにしても、本質は、創業当時と同じに違いない。汁も出汁が、よく利いたすばらしいものである。空腹状態の私には、この出汁はやさしい。最初からオプションの天ぷらをつけたのを少し反省した。天ぷらがなくとも充分うまい。とはいえ、このいもの天ぷらも厚くてうまい。ひとつひとつの技が伝統に裏打ちされている。

これだけの伝統を持つ店、しかも駅前にあって簡単に行けて、これだけのうどんが普通に食べられる、この事実は、どう考えてもすごい。ともかく、はるばる香川に来てよかったと、思った。その後、駅に戻り、観光案内所で聞いたとおり手荷物預かり所で、1日600円のレンタサイクルを借りて、次のうどん屋にむかった。

 2001.2.9


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