21世紀について

 

今年は1999年。1000年代ファイナルの年であり、20世紀セミファイナルの年でもある。そこで今回は目前に迫った21世紀について述べてみたい。

20世紀は残念なことに、「戦争の世紀」だったと言わねばならないだろう。

日露戦争にはじまり、第一次世界大戦、そして第二次世界大戦と、地球的規模での戦争がいくつも起こってしまった世紀だった。

今もアルバニア人に対する迫害やNATOの爆撃など、争いは絶えない。

しかし、間近に迫った21世紀は決してそんな悲惨な世紀にしてはならない。20世紀までは、「経済的競争社会」であったとも言えるが、それで本当に「良き社会」が作られたかというと、そうとは言えないだろう。

勿論、経済的に豊かになることは良いことだけれども、「経済至上主義」いわゆる「拝金主義」を生み出したこともまた事実だろう。そしてまた、貧富の差が顕著になり、貧しい生活を強いられてきた人達の生活がますます圧迫されてきたことも事実だ。

それでは「戦争の世紀」「経済的競争社会」そのどちらにも欠けているものとは一体何であるか。

一言で言うならば「生命の尊さ」という視点の欠落だろう。

それでは21世紀は具体的に、どのようにして行かなければならないのだろうか。

戦争を例に挙げてみると、主に戦争の原因には民族紛争や宗教的紛争、思想的相違等が挙げられるけれども、その全てに共通している点は、「利己主義」と言える。自分さえよければいい、自分の国、自分の宗教、自分の考えさえ良ければいい、通ればいいといった一方的な考えと行動だ。侵略戦争もまた自分の国の領土を増やしたいという「利己主義」の思想であろう。そのような「他のない考えや行動」が戦争という悲惨を生み出している。

これらの問題を解決するには一体どうすればよいか。

資本主義や社会主義など、既存の体制が行き詰まりを見せていることを考えてみても、新しい視点に立った行動が重要になってくるのは明白だ。

そこで21世紀には、世界的に「平和的競争の時代」に向かっていくことを提案したい。

また戦争を例に挙げてみよう。例えば、ある国で戦争が起こっていたとする。それによって日本でも例えば石油を輸入している国が戦争当事国だったとすれば、それによって日本だって経済的影響を受けるだろう。また精神的にもそれらのニュースや映像が入ってくればショックを受ける。だとすれば、自身や一家の平和を思うので有れば、社会の繁栄・世界の平和を願い行動するのは当然のことである。

あらゆる民族やイデオロギー、文化や環境の違いをお互いに認めつつ、世界、地球と言った視点から行動をすること。それこそが先述した「平和的競争の時代」であり、実際に目指さねばならない時代であると思う。勿論、現在の日本で考えるような寛容の精神ではない。日本で今使われている寛容という言葉は、ほとんど妥協という意味で使われている。そうではなく、認めると言っても徹底した対話の中で、お互いの共通点を見つけ出し、それをきっかけとして、お互いを認めあっていく。それこそが真の寛容である。

それではどのような思想や哲学をも越え、あらゆる人に共通していることとは何であろうか。

それは、「人間である」と言うことと「一つの生命である」ということにほかならない。「相手も同じ人間である。生命である。」という考えを持っていたならば、どうして相手を傷つけたりする事が出来ようか。このような観点から行動して行くならば、現在起こっている地球的規模の諸問題(当然、戦争ばかりではなく、環境問題や他の様々な問題にしても同じだ)に関しても、少しずつであっても解決へと進んでいくことが出来るはずだ。

物質的にのみ急速に発展し、精神がそれについていっていない現在の状態から、物質的にも精神的にも発展していくことこそが、21世紀を向かえる俺達に課せられた課題なんじゃないだろうか。

勿論、個人的立場からでもいくらだって行動できる。世界の平和っていっても、決して何か遠くにある物じゃなくて、すぐ目の前ことだ。今よりも、ほんの少し周りを見渡せば、出来る事はたくさんある。

確かに一人の力は小さいかも知れないけど、その小さな一人一人が集まって日本という国も、世界も形成されている。

例えば選挙。

今回の統一地方選挙を見て貰えばわかるけれども、投票率は非常に低い。国民が安心して選挙が出来るって言うだけでもすごいことなのに、その権利を平気で放棄してしまう人が多すぎる。

世界には、ちゃんと選挙が出来なかったり、ひどいところでは選挙自体出来ない体制の元、悪政に苦しんでいる人達がたくさんいるというのに。

「日本の政治は悪い!」といっても、所詮そう言う政治にしてしまっているのは他でもない日本の国民。自分は選挙にも行かないで「今の政治は悪い」なんて言う権利ないはずなのに、選挙に行っていない人に限ってそういう事を言う。大体国民がもっと政治に目を向けていたら、政治家は悪い事なんて出来ないはずだ。

もう一度言いたい。

「今よりも、ほんの少し周りを見渡せば、出来る事はたくさんある。小さな一人一人が集まって日本という国も、世界も形成されている。」

ともあれ、21世紀は「平和的競争の時代」という視点に立った行動が必要であると断言したい。