尾瀬の朝
1999年10月30日

午後9時50分

いつものように車に荷物を放り込み、関越高速道路東松山ICへと向かう。「忘れ物、ないよなぁ、、。カメラ、ある。フィルム、とりあえず間に合う。靴も入れたし、、。コンビニどうしよう、、降りてからでいいか、、。車、少ないなぁ〜。」
インターチェンジのランプから本線に合流すると、退屈なドライブの始まりだ。窓から空を見上げ、「そっか、、今日は月夜かぁ、、ない方がいいんだけどな、、。それに少し空が湿ってるなぁ、、。星の写真はダメそーだな、、まぁいいさ、、」
沼田ICで降りて左折する。「コンビニ、コンビニっと、、」「でも、増えたよなぁ〜〜、何軒あるんだろ、、10軒くらいあるかな!?来はじめた頃は、前橋のファミリーマートか渋川のセーブオン、そこ逃したら自動販売機のカップラーメンしか無かったもんな。便利になったもんだわ、、、。セブンイレブン!ここでいいか、、。」
セブンイレブンのひろい駐車場に車を止め、店内のむっとした空気の中へ入る。「yahooね、、読む間ないから雑誌はパス、、、。さて、朝食なんにしようかなぁー、、。いなり寿司の弁当?またかぁ〜? でも、これでいいかぁ!やっぱり。あとサンドイッチね、カロリーメイトは何処だ?? そうそう懐中電灯の電池忘れちゃいかんと、、。あと水か、、アルカリイオン水??まぁなんでもOKっと、、。」
通い慣れた道、カーブの先まで見通せる。しかも夜中で他の車とも殆ど会わない。窓から空を見上げながら、天気を見計らう。
「うんうん、雲も殆どないし、風もなさそうだ、、。ちょっと暖かいけど霜は当然降りるよなぁ〜。すぐ11月だもん、晴れて風がなくて霜が降りないって手はないでしょ。朝焼けの方は、、、雲ないしなぁ〜、期待できないかな、、。」

午後11時55分、大清水

上の駐車場には一台の車も無い、いつものように坂を下って下の駐車場へ。驚いたことに、ここにも車が一台も、、、あ、あった!一番奥に白いセダンが一台止まっている。だけど、あんな場所に置くのは山小屋関係者だろうか、、。車を中央に停め、窓を開けてタバコを吸う。星も見える。月さえ無ければ、きっと満天の星空。いなり寿司の弁当と紅茶のパックを食し、後ろの座席を前にバタンと倒して横になる。

午前0時50分、寒くて目が覚めるが、これも予定通り。ばたばたと支度をして1時に歩き始める。車に装備されている温度計で、外気温は4度だ、霜もない、息も白くならない。
今日のカメラは35ミリが一台、レンズはとりあえず28,50,85soft、それに67用の135マクロ。三脚もスリックマスター、ザックがとても軽く感じる!。
「やっぱり、これくらいの重さじゃなくちゃねぇ、、これからは軽くしようかな、、。デジカメ一台で済ませたら、もう走って行けちゃうかも!?。だけど、つまんないだろうなぁ、、、それでも軽くて楽なのはいいし、、。でも、毎回こんな事考えていて、未だに、、、だもんなぁ〜。」「星、流れないなぁ、、。カシオペア、、オリオン、、、すばるでしょ、イチニイサン・・まぁ6個かな、、もっと見えてるけど。M31も、なんとなく見えるような気がするけど、気のせいだよなぁ、、この月で見えるとも思えないし、、。でも、やっぱりあれかなぁ〜。」「ダメだ、今日はぜんぜん星が飛ばないや、、」

午前1時50分、一ノ瀬

いつもなら煌々とともる自動販売機の明かりが疎ましく感じられるのに、無いとなると寂しくもあるから勝手なもんだ。ザックをおろし、汗ばんだ背中に風を入れる。ここからは山道だ、懐中電灯をともして出発する。
「ずいぶん水が流れてるなぁ、、昨日雨降ったっけ、、大雨の被害が出たってのは、、2〜3日前か? 水、しみ出してるんだなぁ、、。風が強いなぁ、、これじゃ霜が降りないかも、、。」「クマ、、夜行性なのかなぁ、、でも聞いた事ないもんな、、」「大丈夫だいじょうぶ!今まで何年こんな事してきた??一度も見たことないっしょ、、こんな夜中にウロツク筈ないんだわ、、、。だけど、鳩待への車道で出くわしたの夜だよなぁ、、、。」手に持っている三脚が、何故か頼もしく思える。

午前2時半、石清水の上、林道終点地点  写真その1「星」

石清水で、その場所に転がっていたステンレスカップを使って水を二杯飲む。石清水から少し登り、ベンチの並んだ林道(現在通行止め)終点場所で一休み。ザックをおろし、ベンチにゴロリと横になる。この場所は、新緑や黄葉の時に写したくなる場所の一つ。「葉っぱ、やっぱり落ちてるなぁ、、星がよぉ〜く透けて見えるわ!。あぁそうだ、、新緑、黄葉、それに葉の落ちた木々の間に星が見える構図ってにもGoodかな!?」ガサゴソとザックからカメラを引っぱり出し、28ミリを付けて三脚に載せる。バルブでシャッターを開き、いちにぃさんしぃ・・と120秒数える。またシャッターを開き数えはじめるが面倒になってタバコに火を付けた。吸い終わってからシャッターを閉じる(およそ5〜6分露出か)。いつの間にか午前3時になっていた。「あぁ、、もう行かなくちゃ!」

午前4時、ビジターセンター

三平下に到着した頃から、ほんの少しだか雨が落ちてきた。殆ど寝てないので、どこかで横になりたい・・。とりあえずビジターセンターの屋根の下のベンチに落ち着く。ザックからサンドイッチと水を取り出す。雨具のズボンとマウンテンパーカを取り出して着込む。ベンチにゴロンとなって少し寝た。「うぉ、、さっむぅ〜〜」身体が冷えてきたので、すぐに目が覚める。時計を見るとまだ5時だ。ビジターセンター奥の新しいトイレに行くと、明かりが煌々と灯っていた。電灯に手をかざすが、少しも暖かくない!「なんだ、蛍光灯かぁ、、。白熱灯ならあったかいのに、、。でも、一晩中つけてるんだなぁー。けしゃーいいのに」「天気、ダメだなぁ、、かえっちゃおうかなぁ、、」ぐずぐずと暇を持て余しながらザックを背負い、大江湿原の方へ行ってみる。

5時過ぎから6時半くらいまで、大江湿原

カメラを三脚に載せたはいいが、何も撮れない。周囲が明るくなってきたが、空の殆どが雲に覆われてしまっている。大江川をわたり、唐松の前を通り、大江湿原の対岸に上がる。南の空に一部青空が覗いているが、範囲が広がるでもなくせばまるでもなく、私はただボォーと突っ立っている。小屋の方から一人歩いてきた、20代前半の男性。「あら、早いなー。いくら長蔵小屋でもこの時間に朝食は出来ないよなぁ、、朝弁当か??。山、あがるのかな??。」
わたし「おはようございます、早いですねー、ひうちですか?」
彼「えぇ、、でも天気どうなんでしょうねぇ〜」
わたし「さぁ、どうなんでしょうね、山はすっかり雲の中だけど、、」

7時から8時くらいか、休憩所裏手  写真その2、と

だぁーれもいない!珍しい。一人二人、首にカメラを提げた人が様子みに来ていたがすぐ帰った。「これじゃしょうがないよなぁ、、デジカメ出してパノラマでも撮るか、、。だけど、撮ってもしょうがないよなぁ、、これじゃ、、。」と言いつつ、デジカメで遊んでいた。ふと見ると、沼の西岸に日が当たりはじめ、浅湖湿原にも日が射している。しかも虹まで立っている!。虹の下部しか出てないのは残念だが、それでも虹は虹!。見えただけでも嬉しかったりする。沼の北岸を、雲間から射す光が明るく浮き立たせる。「こういう場面、はじめてただな、、天気悪い時来ないからねぇ。他にだれもいないってのもイイよ、独り占めだ!。この虹だけでも来た甲斐があったってもんだわ。」

8時40分?、三平下

だぁーれもいない!行き交わない!、ほんと静かだ。珍しくもセルフタイマー使って記念写真を撮る。そういえば、むかぁーしむかしもこの場所で撮った事があったな。ツグミが2羽、ナナカマドの実を食べていた。近寄ると残念ながら逃げていく。燧ヶ岳は相変わらず雲の中。日が射してくる気配もなし、、さて帰ろうか。

たぶん9時半、三平峠の南の展望開けた場所  写真その4「皿伏山」

あそこは皿伏山の東斜面だろうか、、綺麗だった!。白い木々の幹と、散り残った黄色い葉、緑のササ。そこに日が斜めに射して、まるで別世界の様子。「あそこを飛び回れる鳥が羨ましい、、。妖精住んでいても、ちっとも不思議じゃない、、。」と思った。三脚たててカメラ載せて、レンズ取り替えたり、デジカメに載せ変えたり、露出変えてみたり、けっこう長い時間そこに留まった。

時間忘れた、大清水  写真その5「カラマツの林」

11時半頃かな、、ようやく大清水に到着。遙かむこうの駐車場に青い日産ミストラルが見える。「あれ?『JUN』さんの車かなぁ、、来てたのかしら!?。まさかその辺にいないよなぁ、、、あれぇ〜〜??あぁ〜〜!あれそーだわ!」大清水の売店の前を、大きな荷物しょって歩いてくるのは間違いなく『JUN』さんだ。野郎に手を振られても嬉しくはないだろうけど、とりあえず手を振ってあげました(笑)。しばし挨拶と情報交換の後、そそくさと帰途につきました。大清水ー戸倉間のカラマツの林は黄葉の真っ盛り。デジカメを取り出して最後の一枚をピピッと写して、今年の尾瀬の撮り納め。

駄文をここまで読んで頂き、まことに恐縮です。さんきゅ !

>